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すこやかMAG

すこやかマガジン937号

9月25日配信

待合室のひととき

 ここ1ヶ月ほど奥歯の根の治療をしています。処置の際に体が飛び上がるほど痛い時があるので、憂鬱な気持ちになりながら通っている歯科の待合室のドアを開けました。開けた瞬間、待合室の一角の子どもが遊ぶコーナーにいた未就学児の子とバッチリ目が合いました。思わずにっこり笑いかけたら、ちょっとだけ笑い返したように見えました。その後、チラチラとこちらの様子をうかがってくるので、またにっこり笑いかけてみました。すると、その子が私に話しかけてきました。「ねえねえ、マリオってさ、つよいんだよ」と言ってくるその子の手元を見ると、そのキャラクターの人形を抱えているようでした。「へえ、そうなんだ」と返すと、「ピーチひめもね、たたかうんだよ。ピーチひめね、つよいんだよ。それでねえ…」と、どんどん話してくるのです。警戒心の無いその子のおしゃべりが可愛いので、しばらく会話を続けました。その子のお母さんが治療を終えて戻ってきてからも、私との会話は続きました。お母さんは「すみません」というジェスチャーをしていました。その楽しい時間もつかの間、私は名前を呼ばれたので治療室へ行きました。そして、根の治療…。しばらくすると、どうやら隣のブースに、その子が来たようなのです。「あのねえ、しってるよ。あの、あわあわのやつやるんでしょ」と、今度は歯科助手さんに話しかけていました。全然治療を嫌がる様子もなく、むしろ楽しんでいるようでした。
 そこで、ふと思いました。この子は、大人と気にせずお話ができる子なのだと。きっとこの子の周りには、安心して話せる大人が多いのだろうと。そして、その大人達はこの子の話をきちんと聞いてあげているのだなと。

 学術的には、こうした子どもの安心感やコミュニケーション力の背景には「アタッチメント(愛着形成)」が深く関わっているのだそうです。
これは、家族や保育者など特定の人との関わりのなかで形成される心理的な絆のようなもので、乳幼児期に育みたい心の基盤として重要視されています。子どもは家族や保育者などに対して「自分は愛されている」「この人はいつも自分を守ってくれる」という絶対的な信頼感を持つことで、愛着を形成していきます。このような愛着を基盤に、子どもたちは自分に自信を持ってチャレンジしたり、他者のことを信頼して良好な人間関係を築いたりできるのです。
反対に、なんらかの事情により乳幼児期の愛着形成がうまくいかず、情緒に問題を抱えている状態のことを「アタッチメント障害」といい、大人になってから自尊心や自立心、社会性が育たず社会生活に困難を感じてしまうこともあるようです。

 治療を終えて待合室に戻ると、その子は本を読んでいました。お母さんは会計の順番が来たので「ほら、本を戻して」とその子に言いました。しかし、本の帯がひっかかり、うまく戻せないようでした。迷わず私は手伝いました。会話をしていたからこそ、躊躇せずに手を貸す気持ちになったのです。
わずか数分のやりとりでしたが、心がふわっと温かくなり、治療への憂鬱な気持ちもどこか軽くなっていました。 あの子の無邪気さと安心感に触れて、私まで「大丈夫」と思えたのかもしれません。いつかまた、あの子が大きくなった姿を見てみたい。 その時もきっと、誰かに自然と声をかけて、場を明るくしているのだろうなと思います。

参考:保育士コラム「愛着形成(アタッチメント)とは?何歳までにどのような関わりが必要?」 
https://tryt-worker.jp/column/hoikushi/detail/ho807/


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