すこやかマガジン第923号
論破したがる子ども達
みなさん、こんにちは。
みなさんは身近な子どもに「はい、論破」と言われたことがありますか。あるいは「論破ゲーム」をしている子ども達を見かけたことがありますか。私は先日、たまたま通りかかった下校途中の子ども達が「はい、論破」と言っているのを聞きました。
この「論破」、2022年ころから子ども達の間で流行っているということを知りました。広辞苑によると、論破とは「議論して他人の説を破ること。言い負かすこと」とあります。最近流行っている論破は、ロジック(論理)がなく、相手の発言を遮断したり、相手が何も言えなくなったりした時に「はい、論破」のセリフを放つというもの。このセリフが放たれた瞬間、コミュニケーションは終わります。かつてのような言い合いによるコミュニケーションを通して、少しずつ社会性やコミュニケーション能力を身に付けてきた時代から変わりつつあるようです。
青山学院大学教授で小児精神科医の古荘純一氏によると、子ども達がこの論破に魅了される背景には、自己肯定感の低さが関係していると言います。こども家庭庁が実施した「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査(令和5年度)」によると、日本の子どもの自己肯定感は17%しかなく、欧米の36%と比べるとかなり低くなっているそうです。自己肯定感が低い子ども達が、傷ついたり、相手に歩み寄ったりする過程を省いて、「はい、論破」のセリフで相手より優位に立つ。そうすることで自尊心を保っているのかもしれません。
この会話のスタイルには多くの危険性が伴います。相手の意見を最後まで聞かない習慣がつく、「勝ち負け」だけで会話を判断するようになる、共感能力や協調性の発達が妨げられる、孤立やいじめのリスクが高まる等です。
では、子どもに「はい、論破」と言われたらどうしたらいいでしょう。つい「そんな言い方はやめなさい!」と言ってしまいたくなりますね。一般社団法人「アルバ・エデュ」代表の竹内明日香さんはこんな方法を紹介しています。「また、論破ゲームが始まったんだね。面白いけれど、本当はどう思っているの?」と聞き、会話を促進させること、自己肯定感の低さや承認欲求等の背景に目を向けながらコミュニケーションをしていくことが効果的だそうです。
私は息子から「はい、論破!」と言われたことはまだありません。しかし、学年が上がってくるにつれて、人の話を遮ったり、都合の悪い話を聞かないふりをしたり、口ごたえをしたりすることが少しずつ増えてきたような気がします。ついつい「なんだその口の利き方は!」と言ってしまい、売り言葉に買い言葉になってしまいます。そういう時こそ、息子がそんな言葉遣いをする背景に目を向け、本当の気持ちや言い分に耳を傾けるチャンスなのかもしれないと考えさせられました。
また、作家の物江潤さんは、「『論破』に夢中になっている大人をまねている」と指摘しています。くれぐれも大人自身が論破ゲームのような一方的なコミュニケーションをしないようにしたいものですね。本当に大切なのは「論破よりも対話」なのですから。
こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査(令和5年度)」
https://kosodate.mynavi.jp/articles/36757
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