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いわて マナビィ マガジン 264

No.264 (令和5年度第6号) 2023.7.7

「障がい者の生涯学習支援」とは?

~だれでも いつでも 学べる 社会へ~

「私たちは、学校で長い間学んできました。だから、『勉強は学校でするもの』、『卒業したら学ぶ機会はなくなる』と考える人も多いかもしれません。でも、実は、卒業しても学び続けている人はたくさんいます。大人になってからも同じ趣味をもった人たちが集まって活動したり、ボランティア活動をしたり、アートやスポーツを楽しんだりしている人がたくさんいます。あなたの住む街にもダンスや料理、生け花や書道、パソコンや絵画など、たくさんの学びの場があるはずです。こうして学校以外の場でも学ぶこと、人生を通して学び続けることを、生涯学習といいます。」

これは、文部科学省が障がいのある方へ、卒業後の学びについてお知らせしたリーフレットに掲載されている一節です。

https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00601.html

健常者にとっては、学校卒業後も自分が興味を持ったことを学ぶ機会はたくさんありますが、障がいのある方にとってはそうではない実態があります。

そこで、今回は、「障がい者の生涯学習支援」について考えてみたいと思います。


【障がい者の生涯学習に関する現状】

特別支援学校から大学等の高等教育機関への進学率は約4%、ほとんどの障がい者が就職又は障がい福祉サービス(就労移行支援・就労継続支援)などに進むそうです。

また、平成30年度の文部科学省の障がい者への意識調査によれば、

○一緒に学習する友人、仲間がいない⇒71.7%

○学ぼうとする障害者に対する社会の理解がない」⇒66.3%

○知りたいことを学ぶための場や学習プログラムが身近にない⇒67.2%

となっており、学びたくても学べる環境にない実態が明らかとなりました。


【障がい者の生涯学習推進のあり方に関する研究】

当センターでは、令和2・3年度の2か年にわたり、「障がい者の生涯学習推進のあり方に関する研究」を実施し、国内外の動向を整理したり県内各市町村にアンケート調査を行ったりしながら現状と課題を把握し、公的社会教育が障がい者の生涯学習をどのように推進していくべきなのか分析と考察を行いました。

詳しくはこちらからご覧になれます

↓↓↓

https://manabinet.pref.iwate.jp/hp/kenkyu/abe/03shogai.pdf

県内各市町村生涯学習担当者へのアンケート調査から、

○トイレやスロープなど社会教育施設の整備による配慮は、全33市町村で取り組まれている。

ことが分かりました。その一方で、

●障がい者に関係する法律や施策等については、「SDGs」や「障害者基本法」「共生社会」等の認識に市町村により大きな差があること

●主催事業において「障がい者も参加できる事業や講座がある」と回答したのは、6.1%にとどまり、93.9%は「障がいの有無を意識していない」

ことなどが明らかとなりました。

「障がいの有無を意識していない理由」については、

・障がい者については他部局が担当…58.1%

・障がい者や団体等から要請がない…38.7%

・事業を担当できるスタッフ・ボランティア不足…35.5%

・対象となる障がい者の把握不足…32.3%

などが挙げられておりました。

また、「障がい者の生涯学習推進における課題」として多かったのが、

●生涯学習に関するニーズの把握…78.8%

●関係部局・機関・団体との連携…66.7%

●生涯学習に関する体制の整備…51.5%

●専門的知見をもつコーディネーター等の配置…48.5%

などとなっており、文部科学省が行った全国調査の課題と同様となりました。

市町村の生涯学習事業等で障がい者の受講を断っている例はありませんでしたが、

●障がい者がどのくらい学びを必要としているのか

●必要としていたら何をどのように進めればよいのか

●小規模の自治体では単独での施策推進が難しい

など、各市町村で推進するための課題が明らかになりました。

今後本県において障がい者の生涯学習を推進していくために、

①障がい・障がい者理解の促進

②関係機関、関係団体との連携

③障がい者の生涯学習推進に向けた体制の整備(施設設備の整備、スタッフ・ボランティア等の人的配置、生涯学習分野における合理的配慮の推進)

これら3つの視点に立って取り組んでいくことが重要であることにたどり着き、さらに県内外の先進的事例を調査していった結果、

○障がい者自身が何を学びたいのか…学習者のニーズの把握

○新たな学習方法の掘り起こし…ICT等テクノロジーの進化等による新しい学び

など、「④学習ニーズと方法の把握」という新たな視点を見出しました。


【障がい者の生涯学習推進のための県の取組】

県では令和元年度より「障がい者の生涯を通じた学習活動」に関する庁内連携会議を継続して実施し、教育以外の文化・芸術やスポーツ、保健福祉分野での障がい者の生涯学習活動に関する情報を共有し施策の推進に活かすこととしております。

また、本日、県内各市町村における推進体制の充実に向けて、当センターで、【「障がい者の生涯を通じた学習活動」市町村担当者研修会】が開催されております。


ちょっと難しいことを書き連ねてきましたが、考えてみれば、私の叔父と叔母は、先天的に耳が聞こえず手話で日常生活を送る聴覚障がい者であり、従弟は小児麻痺で装具がなければ歩くことができないなど、自分の周囲にも障がいのある親族がおります。身近な人が学校以外の場でも学ぶこと、人生を通して学び続けることができているのか、少し心を寄せてみれば、もしかしたら自分事として考えることができるかもしれません。

また、るんびにい美術館やヘラルボニーなどに代表される、障がいのある方が取り組むアートなども生涯学習にとどまらない先進的事例として学ぶことは多いと思われます。

障がい者の生涯学習にとどまらず、考え方や見方をちょっと変えてみたり、相手の気持ちに寄り添うことを意識してみたりすることが生涯学習・社会教育事業の推進・改革のポイントとなるのではないでしょうか。


★―――――――――――――――★

7・8・9月の研修事業実施予定

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※研修講座の申込みや実施済みの研修講座の様子はこちらからご覧になれます

↓↓↓

【7月】

7日(金)障がい者の生涯学習推進市町村担当者研修会【本日開催】

10日(月)社会教育主事講習(秋田会場)事前研修会

13日(木)・14日(金)放課後児童支援員認定資格研修(沿岸前期)【締め切りました】

25日(火)人づくり・地域づくり関係職員等研修講座(宮古)【申込受付中】

【8月】

 8日(火)コミュニケーションスキルアップ研修講座【申込受付中】

10日(木)学校と地域の連携・協働研修会【申込受付中】

29日(火)・30日(水)放課後児童支援員認定資格研修(盛岡前期)【締め切りました】

【9月】

 1日(金)放課後子どもプラン指導者合同研修会②

 6日(水)事業プログラム企画運営研修講座

12日(火)・13日(水)放課後児童支援員認定資格研修(センター後期)【締め切りました】

15日(金)地域安全防災研修会

21日(木)センター・公民館・主管課職員等セミナー

26日(火)・27日(水)放課後児童支援員認定資格研修(県北後期)【締め切りました】

28日(木)人づくり・地域づくり関係職員等研修講座(中部)

29日(金)子育て・家庭教育相談担当者研修会①

※詳しい内容・申し込みは、「まなびネットいわて」https://manabinet.pref.iwate.jpをご覧ください。


▶ご意見・ご感想、登録・登録解除等は下記アドレスまで

  ⇒ E-mail:mag-manabee@pref.iwate.jp

 ▶生涯学習・社会教育関連情報は「まなびネットいわて」から

  ⇒ https://manabinet.pref.iwate.jp/

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https://twitter.com/manabinetiwate/

 発 行:岩手県立生涯学習推進センター

 (花巻市北湯口2-82-13)

 編 集:澤柳 健一

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