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いわてマナビィマガジン272

No.272 (令和5年度第14号) 2023.11.9

「ウェルビーイング」って何?
~新しいものさし・コンセプトとして~ 


最近、よく耳にするようになった「ウェルビーイング」という言葉ですが、文部科学省の公開した新たな教育振興基本計画の2つのコンセプトのうちの1つに「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」というセンテンスがあります。今回は「ウェルビーイング」について学んでみたいと思います。


【「ウェルビーイング」とは?】

世界保健機関(WHO)憲章前文にこのような一節があります。

“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”
「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」
(日本WHO協会仮訳)とあります。
(参考)https://japan-who.or.jp/about/who-what/charter/

ここでは、ウェルビーイングは、「満たされた状態」と訳されています。しかも、「肉体的にも、精神的にも、社会的にも、全て」であり、健康の概念として捉えられ、その範囲もとても広いことが分かります。身体が健康であること、心が豊かで幸せであること、社会が良好な状態であることが「ウェルビーイング」であるといえるでしょう。

経済だけではなく「こころ」の充足、生活への評価・感情・価値、健康まで含め、自分の生きる道だけでなく家族や友人、自分の住む街・国などが「良い状態」であることが「ウェルビーイング」であるとも捉えることができます。


【「幸せ」「幸福」と「ウェルビーイング」の関係】

では、「ウェルビーイング」は、「幸せ」や「幸福」とどんな関係にあるのでしょうか。
京都大学の 内田 由紀子 准教授(第12期中央教育審議会委員)によれば、
(参考)https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000177757.pdf

「幸せ」は英語では「happiness」と訳されますが、
「happiness」…短期的で個人的な幸福・幸せな状況・感情の状態
「Well-being」…包括的で、個人のみならず個人をとりまく「場」が持続的によい状態であることと捉えられています。

つまり、個人の幸福のみならず、社会全体が幸福であれば個人も幸福であるというように述べています。よって、「ウェルビーイング」は個人に留まらず、社会全体が「幸福」である状態といえるのではないでしょうか。


【日本的幸福と「ウェルビーイング」】

また、内田准教授は、文化の違いと幸福について次のように述べています。

「北米的幸福」…個人の自由と選択・自己価値の実現と自尊心・競争の中でもまれ、それらが翻って社会を豊かにするという信念【獲得的幸福観】
・『私の人生は、とてもすばらしい状態だ。』
・『大体において、私の人生は理想に近いものである。』
・『これまで私は望んだものは手に入れてきた。』 など

「日本的幸福」…幸福の「陰と陽」・他者とのバランス・人並志向・まわりまわって自分にも幸せがやってくるという信念【協調的幸福観】
・『自分だけでなく、身近なまわりの人も楽しい気持ちでいると思う。』
・『大切な人を幸せにしていると思う。』
・『平凡だが安定した日々を過ごしている。』 など

国際的な調査において、グローバルな指標をもとにすると、日本や韓国などの東アジア地域は、「人生満足感尺度」が欧米に比べて低い傾向にあるそうですが、「協調的幸福感尺度」を使うと、欧米とだいたい同じになるそうです。

日本においては、「獲得系幸福」と「協調的幸福」の良いバランスを重視しながら、「日本的ウェルビーイング」を考えていく必要があるとのことです。


【「ウェルビーイング」の循環】

「自分(個人)の状態」が良いと「他者の状態」も良くなり、さらに「社会全体の状態」が良くなる。そして「社会全体の状態」の良さが再び「自分(個人)の状態」を良くするといった、お互いの幸せな状態「ウェルビーイング」の好循環が生まれている状態を作り出すことが大事であり、国の新たな教育振興基本計画では、このことを今後の教育政策を進めていく上で、大切なコンセプトであると示されています。
(参考)https://www.youtube.com/watch?v=AF2-S1EGGiE (文部科学省Youtube)

今回「ウェルビーイング」について、改めて学んでみましたが、実は現在の「いわて県民計画(2019-2028)」の基本目標は「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」となっています。

計画の理念には「県民一人ひとりがお互いに支えながら、幸福を追求していくことができる地域社会の実現を目指し、幸福を守り育てるための取組を進めること」と示されています。岩手県は「ウェルビーイング」の考え方を先取りしていたとも言えるかもしれません。お互いのつながりを深めながら、みんなが「幸福」である岩手県を目指していきましょう!


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今後の研修事業実施予定
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※研修講座の申込みや実施済みの研修講座の様子はこちらからご覧になれます

【11月】
10日(金)人づくり・地域づくり関係職員等研修講座(二戸会場)
      (ちらし・広報誌づくりを題材にWordの発展的な活用方法について学ぶ研修)28日(火)子育て・家庭教育相談担当者研修会②(完全オンライン)
     (子育て支援・家庭教育支援にあたる人材のスキルアップを図る研修)
30日(木)人づくり・地域づくり関係職員等研修講座(中央研修)
      (障がい者の生涯学習についての理解促進、多様な学び、推進上の課題等についての意見交流等を行う研修会)

【2月】
1日(木)~2日(金)岩手県生涯学習推進研究発表会
~岩手の人づくり・つながりづくり・地域づくりフォーラム2023~
※参集型とオンライン型のどちらでも参加できるハイブリッド型で行います
※関係各所に1次案内をお送りしています。2次案内は12月中旬までにお送りします。

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発 行:岩手県立生涯学習推進センター (花巻市北湯口2-82-13)  編 集:澤柳 健一

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