8.思春期編④

~子育てワンポイントアドバイス~

(16)ストップ・ザ非行!

「シンナーはダメだけど、ライター用ガスはいいんだよね」「お金をもらったら売春だけど、 物はいいんだよね」という中学生がいます。

中学2年生は、思春期の真っ只中で、心も身体も、これ以上ないというくらい、 不安定で揺れ動いています。だからからこそ、支えてくれる確かな何かがほしいのです。 別の言葉でいえば、自分を正当化してくれる理論的なよりどころです。「シンナーはダメだけど…」も その一つです。非行は、こうした、人づてに聞く不確かな情報やうわさ話が入り口になって いることも少なくありません。

中学2年生にもなると、ITの操作能力は大人より優れているかも知れません。一方、 うわさ話などのアナログな情報に翻弄(ほんろう)されているのも事実です。今、中学生の間には、 酒・煙草、薬物、性に関する誤った情報が広まっています。病気になって初めて、 ことの重大さに気づく中学生が大半です。無知は最も危険です。正確な知識はセキュリティの基本。 今こそ、親として正確な知識と情報の伝授に心がける必要があるのではないでしょうか。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
親が構えると子どもも構えます。大切なことほど事実に即して淡々と話してみましょう。 「君はどう思う?」と聞いてみるのも効果的です。

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(17)自らを成長させるボランティア活動

「ボランティア=人のために何かをする」というイメージが多いかと思います。 さて、本当にそうでしょうか。ある生徒の作文です。

私は、そのおばあさんを見ていて、「何かしてあげたい」でも、何をしてあげればいいのかわかりませんでした。そのとき、別に考えることじゃなくて、「してあげたいことをしてあげればいいのだ」 と思い……。私のできることは、これ位しかなかったからです。でもそのおばあさんは、何回も「ありがとう、ありがとう」と言ってくれました。 十分な介護をしてあげたわけでもないのに、「役に立てたかな」と思い、 私にとっては小さな小さなことだと思っていたことが、おばあさんにとっては嬉しくて、 してあげたことがありがたいことだったのだなと思うと、私まで嬉しくて泣いてしまいました。

今回のボランティアを通して、自分なりに何かを得られたような気がします。家のおばあさんは、「うるさい」と思ってばかりでした。でも思えば、「 みんな私のことを思って話すのだな」心配してくれて話してくれているのに「うるさい」って 思うのは失礼なこと……。そう思えたのは今回のボランティアに参加したからです。

「少年は、必要とされてはじめて、大人になる」この言葉は、ボランティア活動が、 人間の成長と自立にどのような貢献をするかについての意味を見事に言いあらわしています。 中学生が、他の人や社会の「役に立つ」存在として周囲に認められ、かけがえのない存在として 「必要とされている」ことを知る。ボランティア活動は、中学生の社会への参加意識を育てるだけでなく、 人間としての成長と自立のための手段でもあるのです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
ボランティア活動は、社会貢献という形を通して、自らが学ばせてもらう活動です。

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(18)中学生の人権とは

子どもの成長は、保護者にとって大きな喜びです。しかし、成長するにしたがって、 親から離れていきます。中学生のこの時期は、まさに、親から離れ一人の人間として成長するための大切な時期と言えるでしょう。

第二反抗期と言われるこの時期は、親からの自立を求め、親の考えに対して自分の考えを主張する時期です。子どもにとってよかれという親の思いや、保護、善意、愛情の名のもとに 一方的に大人の価値観や倫理を押しつけると子どもの反抗は強くなるばかりです。

子どもには子どもの世界があります。それは時として、大人の価値観や倫理から見れば、 悪と見えることもあり、許されないことと映ることもあるでしょう。しかし、 子どもの時代が大人の準備期間としてあるのではなく、子どもとして、その存在自体があるのですから、子どもが子どもとして生きている時間が限りなく尊重されなければなりません。

そのためには、子どもの人格を尊重しながら、自己責任の原則のもと、自らの判断で選択し、 行動させるという環境づくりを援助することが大切です。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
「子どもは大人と違ったもの」であり、不完全な大人としてではなく、子どもとして 理解されなければならない存在である。
(J.J.ルソー)

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(19)環境教育

もし、地球が太陽にもう少し近かったり遠かったりしたら、地球には水は存在せず、 もちろん生物も私たち人間も生まれなかったでしょう。水と緑にあふれた地球は、 宇宙の中でも奇跡的な存在です。その地球が今苦しんでいます。

地球を救うことができるのは、地球人である私たちしかいないのです。地球環境を守るために、親子でできる環境保全に取り組んでみませんか。

電気やガスなどのエネルギーを節約し、二酸化炭素の排出をおさえるために、今日からできることがあります。「照明・電気器機のスイッチをこまめに消す」「衣服で温度調整をする」 「お風呂は続けて入る」「生ゴミはネットに集め水を切る」「合成洗剤やシャンプーは適量を使う」など です。このような行動が地球の温暖化防止につながるのです。

「混ぜればゴミ」「分ければ資源」ゴミ分別を徹底し、一人ひとりが身近にできることから始めるしかありません。環境に優しい暮らし方について、子どもと話し合い、実践してみましょう。 暮らしの中のちょっとした心がけが、地球環境保全になるのです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
飲み残した味噌汁を、軽い気持ちで台所に流す。その結果、汚れた川の水をきれいにするには、 おわん7,000杯の水が必要になります。

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(20)地域活動への参加を通して社会性を

今、青少年に最も欠けているのが地域社会の一員としての体験です。そのため、意図的に地域の活動に我が子を関わらせたり、隣近所の人たちとの触れ合いを進めたりすることが必要です。

自分の住んでいる町なのに、知らないことがたくさんあるという子どもも多いのです。 地域を知るために、親子で身近なボランティアをするというのはいかがでしょうか。 自分の町がもっと良く見えてきて、もっと好きになります。

たとえば、公園を清掃する、散歩しながら空き缶を拾う、公園のブランコなどの施設が壊れていないか、危ない物がころがっていないか注意して見るなどの活動があります。また、中学生にとって、 図書館や博物館などの手伝いは結構面白い発見に出合ったりするものです。子どもの興味がある 公共施設から始めると効果的です。

地域からは、人間として生きていくための知恵や体験を通して教わります。そこから学んだことから、 社会のしくみやもう一人の自分に出会うという新しい世界が広がっていきます。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
毎日の暮らしの中に、ボランティア活動のヒントがたくさん隠れています。身近なところから、 できることから取り組むことが第一歩です。

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