8.思春期編①

~子育てワンポイントアドバイス~

(1)家庭生活の本質

子どもを一人前の人間として自立できるように育てることは、家庭の大きな責任です。

身の回りのことだけでなく、精神的にも経済的にも自立することが求められます。

しかし、経済面ばかり注目し、「よい職につくためには、勉強さえできればよい」という風潮もあり、 精神面を育て、自立させることは軽視されがちです。また、核家族化や少子化など家族形態の変化によって家庭の教育力が弱まり、親は子育てに自信がもてなくなっています。

赤ちゃんがこの世に産声をあげたとき、初めて出会ったのは、母親や家族です。子どもは、身近な人への信頼関係を深め、よりどころにして成長し、やがて思春期を迎え、自立への最終段階を迎えます。

この時期は、親や大人を批判し、困らせているかもしれませんが、順調に育ってきている証拠です。

無理難題や青臭い論議も、親を信頼しているからこそ話しかけてくるのです。また、親がどんな対応をするのか確かめているのかもしれません。

自分の思春期の経験を語ること、子どもの抱えている問題を子どもの側に立って一緒に考え悩むこと、 これは身近にいる親だからこそできることです。正解はでなくても、子どもの気持ちを真剣に受け止める姿勢が、 信頼の基盤となるのです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
-親の役目はものさしづくり-
親として、お金や土地などの資産を残すよりも、ものごとの見方、考え方の基準となるものさしをきちんとつくってあげましょう。

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(2)家庭生活で大切にしたいこと

「我が家に帰るとほっとする」誰もが感じることです。

これは、自分の家では、気ままが許されるということではなく、家族同士がつくってきたルールを みんなが守っているという安心感があるからなのです。「家風」といえば少し古臭いですが、 我が家のルールは、親の価値観と家族の話し合いから生まれます。

子どもにとって家族は、一番身近で多少の甘えも許される場所です。

家族にしか言えないこと、家族だから理解できることもたくさんあります。しかし、子どもの気持ちをくみ取って、 世話をやき過ぎるのもいけないのです。家族であっても、言葉にして気持ちを伝え、コミュニケーションの能力を高める機会としましょう。

「さあ、話し合いの時間です」と構えるのではなく、親が率先して、日常的なあいさつ、 出かけるときの声がけを始めてみませんか。子どもは、表情やしぐさでコミュニケーションをとっている場合もあります。

子どもが話しかけてきたときは、チャンスを逃さず、じっくりと話を聞いてあげたいものです。 いつも「から返事」では、いい加減にあしらわれていると感じ、「話したい」という気持ちがなえてしまうものです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
-理想的な家庭とは-
①家族がひとつ屋根の下に住んでいること。
②両親の力関係のバランスが取れていること。
③両親と子どもが密着せず独立していること。
④家族全体が同じ目的をもって存在していること。
(エール大学 リッツ教授)

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(3)おたくの家庭生活のリズムはどうですか

人間の体や脳は、目覚めてから約2時間後にようやくバランス良く働き出すといわれます。

学校の授業もちょうどその条件のよい時間帯に設定されています。

もし、遅く起きて、学校到着が目覚め30分位しかたっていなかったらどうでしょう。体も脳も、 朦朧(もうろう)とした状態です。登校時の交通事故や学習に集中できないなど、 心配なことがたくさん考えられます。おまけに「朝食抜き」ということになれば、 脳はすっかりお休み状態です。朝食は、脳への最高の栄養と言われます。しっかりとした朝のスタートは、 その日をしまりのあるものにしています。

さらには、夕食後の生活を工夫してみましょう。学習時間、テレビの視聴、友だちとの電話など、自分の必要とする時間を決めて上手に使っていく力を育てたいものです。これは大人になった時、仕事を能率的に処理していく力になります。

食事やだんらんなど、家族共通の時間をはっきりさせるとともに、自分の時間については、しっかりと責任をもたせましょう。もちろん親も同様です。朝起きの声がけの回数は、子どもと約束し、 それ以上は、心を鬼にして我慢してください。何回かの失敗は覚悟の上です。

自由な時間を保障しながらも、家族全員がそろう時間を軸にした家庭生活でありたいものです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
我が家には我が家の決まりがあり、これだけは譲れないという、最小限のことは貫きましょう。

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(4)思春期 ~揺れ動く心~

思春期にある中学生の時期は、心身ともに大きく成長し、身体的にも心理的にも子どもから大人への移行期です。

身体的には、第二次性徴の発現を中心とする急激な変化が始まり、男らしさ、女らしさの身体的条件が整い、この身体変化を受け入れることが一つの課題となります。

心理的には、それまでは素直に受け入れてきた親や教師など身近な大人の言動に対し、反抗的になります。 これは、第二反抗期と言われるものであり、自立するためには避けて通れないものです。

自己意識が強まり、「自分は、一体何者であるか、自分は何をしようとしているのか」という 大きな課題に取り組むために自分自身を見つめながら、大人から距離を置こうとする一方で友人とより親密な交友関係をもとうとするのが、この時期の特徴でもあります。

思春期は、たくさん悩み、反抗し、自分で考えながら大人として自立していく大切な時期です。 大人にできることは、子どもを信じて見守りながら、ともに考え、理解することです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
少し離れて見守る、心のゆとりをもちましょう。干渉し過ぎは、子どものためにも 親のためにもなりません。子どもの思春期は、親にとっての子離れの時期です。

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(5)二次性徴の発現 ~中学生の身体的発達の特徴~

-二次性徴の発現 ~中学生の身体的発達の特徴~-
思春期は、第二次性徴とともに始まります。男女の違いがなく発達してきた子どもが、女子は10歳頃、男子は12歳頃から急に身長が伸び始め、男女によって体つきや生理現象にも違いが見られるようになります。これを第二次性徴といいます。その発育、発達の速度や程度には個人差があり、周りの人と比べて心配する必要はありません。体内のホルモンのバランスが変わるためイライラしたり、身体の変化にとまどい、悩むこともあるでしょう。異性への関心が芽生え始めるのもこの時期です。

-思春期の体の変化-
思春期は、ホルモンの働きにより、生涯を通して一番ドラマチィックな性成熟がおこる時期です。
女子は卵巣の発達により月経が始まり、男子は精巣の発達により精通が始まります。
成長ホルモンは、脳下垂体から分泌されるホルモンで、骨、筋肉、内蔵、皮膚、毛などの成長を促進します。性ホルモンは、精巣や卵巣から分泌されるホルモンで、体つきを変化させたり、生殖器の発育を促進させます。

【女子の変化】         【男子の変化】
・乳房が発達する               ・声変わり
・発毛(腋、性器)            ・発毛(腋、性器)
・皮下脂肪が増える            ・筋肉が発達する
・腰骨が広くなる               ・肩幅が広くなる
・丸みのある体つきになる    ・たくましい体つきになる

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
外見は大人でも、まだまだ子どもです。しっかり目をかけ続けましょう。

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