5.小学校中学年編②

~子育てワンポイントアドバイス~

(6)命の尊さを感じる心を

今の子どもたちは、かけがえのないそれぞれの命を、どれほど実感して生きているでしょう。 いじめなどは、人の命の大切さを身をもって感じる体験の不足などから生じているように思われます。 裏を返すと生きることの素晴らしさを知らないために起きるものかもしれません。

花壇に芽生えたチューリップの上を平然と歩く小学生もいれば、それを見て植物の命がうばわれることに心痛める子もいます。虫を飼ったり、花を育てたりしている子は、 決してチューリップの芽を見逃さないようです。それは、生き物に対する愛情と畏敬の心が育っているからでしょう。

自分よりも幼い子や障がいのある人、老人などのお世話をする体験なども是非させたいものです。もちろん、生の対極にある死についても考えさせたいものです。

これらのことは、言葉で教え込もうとしてもなかなか身につきません。命あるものとのふれあいがどうしても必要となります。できれば、丸ごと生き物とふれあう経験をさせたいものです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
人の命が他の動植物の命とつながっていることを、実生活と結び付けて実感させたいものです。

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(7)中学年の運動能力

中学年は、身長、体重等が急激な伸びを示すとともに、運動機能も発達する時期と言われています。

これらのことは、体力や運動能力の発達にも大いに関連があり、様々な運動種目をしっかり学習できるようになります。たとえば、運動が上手にできる力や素早く動ける力などが 発達するのもこの頃で、跳び箱の開脚跳びや鉄棒の逆上がりなど、いろいろな技に挑戦できるようになります。

また、様々な運動能力が発達するとともに、完成期に近付くため、特定の運動種目だけに取り組むといったことは避けるべきです。多くの運動種目を決して無理のない運動量で行うのがよいでしょう。中学年における体力づくりは、バランスを重視したものが望ましいと言えそうです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
体力とは、体の運動能力・抵抗力・耐久力などの総合的な力のことです。つまり、生きていくための源です。

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(8)遊びを通しての体力づくり

中学年の頃は体力を付けていくのに非常に大切な時期です。どのようにして体力を付けていけばよいのでしょうか。実は、何も特別なことをする必要はないのです。自然の中で、のびのびといろいろな遊びをすることで十分な体力が身に付きます。

しかし、最近は屋外で遊ぶことが少なくなったために、子どもたちの体力が低下しています。1995年の子どもたちの握力は1968年、1980年に比べ大幅に低下しています。 握力は前腕の力を示す指標であり、握力の低下は私たちの生活様式が大いに変化したことを表します。つまり、子どもたちの中で、体を動かしたり、働いたりする習慣がどんどん減り 、体力が落ちてきているのです。このことに危機感を持つ必要があります。

また、子どもは遊びを通して、スムーズな人間関係づくりを学びます。この感覚こそが、最も必要とされるものなのです。これらのことを考え合わせると、 特に屋外での遊びを意識してすすめる必要があるのではないでしょうか。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
長縄とび、石けり、缶けり、木登り、水遊び・・・。
子どもの頃を思い出して、子どもたちに遊びの楽しさを教えてあげましょう。

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(9)大事な生活のリズム

私たちの生活の中で、健康な生活と言えば、「早寝・早起き」ということがよく言われます。 ランプで生活していた時代ならともかく、現代でも本当に「早寝・早起き」は必要なのでしょうか。 ずばり、必要です。

私たちの体のリズムは1日約25時間で進むという報告があります。このことは、1日に1時間だけ体内リズムが遅れていくということを意味します。その結果、 一月のうち何日かは、日中なのに自分の体にとっては真夜中ということになってしまうのです。 こうなると、日中に活動する能力が落ちてしまいます。そればかりか、 このような状態が大人になっても続きやすくなってしまいます。これらを防ぎ、 体のリズムを整えるためには、乳幼児の頃からの「早寝・早起き」の習慣が大切となります。

もちろん、「早寝・早起き」をするためには、毎日の生活のリズムを整える必要があります。つまり、食事、家庭学習、遊び、テレビ等の時間設定を計画的に行うことが重要なのです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
「早寝・早起き」は、健康の秘訣であり、毎日の活動の原動力です。

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(10)大事な朝食

最近、朝食をとらないで登校する子どもが増えています。朝食は、1日の生活リズムを形成するために大きな働きをします。そして、1日の活動のためのエネルギー源でもあります。空腹のまま活動すると疲れやすく、体力を消耗したり、体調が崩れたりします。持久力や集中力の低下なども招き、学習意欲もなくなってきます。また、栄養的にもアンバランスになり、特にカルシウムなどの栄養素が不足してきます。そのほか、朝食を抜くことで、間食や夜食の量が多くなり、肥満の原因にもなります。

朝食を抜く理由としては、「食事をとる時間がない」「食欲がない」などがあげられます。1日の生活リズムを整え、朝食をとり始める30分から1時間前に起床できるように、夜ふかしをさせないことを心がけましょう。

朝食抜きでは、一日、パワーダウンです。

~朝ごはんは、黄・赤・緑でバランスよく~
【副菜(緑)】
 -野菜・果物・海草など
  ビタミン、カルシウムや鉄などのミネラルを含みます。
 ○ホウレンソウやコマツナのおひたし、サラダなどを一皿
【主食(黄)】
 -ご飯・パン・いも類・めん類
  働く力のもとになる糖質を多く含んでいます。
 ○ご飯1杯、食パン1枚など
【主菜(赤)】
 -卵・肉・魚・乳製品・豆類
  血や肉になるたんぱく質を多く含んでいます。
 ○卵焼き、目玉焼き、納豆、焼き魚など
【汁物(緑・赤)】
 -野菜・海藻・大豆製品など
 ○具がたくさんのみそ汁など

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
朝食に主食(ご飯やパン)をしっかりとることが、1日のエネルギー源を確保することになるのはもちろん、脳の働きを活発にし、精神的にも安定した状態にさせます。

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