7.中学校編④

~子育てワンポイントアドバイス~

(16)良き友は良きアドバイザー

毎日の生活の中で中学生が楽しいと感じることの多くは、友達と話したり、遊んだり、様々な活動をしたりしながら過ごすことの中にあります。また、いろいろな悩み事や不安が生じた時も、ほとんどの場合、親しい友達に相談することが多いのです。

中学生にとって、信頼し合える友を得るかどうかは、とても大切なことです。「親友づくり」が中学校生活の満足度を左右する重要なカギだと言っても過言ではありません。「親友」は、「親しい友」であると同時に互いに心が通じ合う「心友」であり、 信じ合える「信友」であり、真心をもって付き合わなければならない「真友」でもあります。

親としては、楽しいことや悩み事を共有するだけの関係から、互いに高め合うことができるような 仲に発展するよう、親友づくりを応援したいものです。そのためにも、 子どもの交友関係を知ることは大切です。子どもの友達と顔を合わせた時には気軽に声をかけたり、 挨拶がかわせるようにしたいものです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
親自身も子どもが選んだ友達やその家族と親しくお付き合いできるよう、心がけてみませんか。子どもを通じて、世界がきっと広がるはずです。

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(17)いじめに気づいたとき

いじめにあった子どもの多くは、誰にも言えず、とても悩んでいます。

早く、誰かが気付き、助けないと、もっと深い苦しみを重ねることになります。また、いじめている側についても、その行為が相手にどのような影響を与えているかがわからない場合が多くあります。

子どもは、親にふがいなさを責められることや仕返しを恐れ、いじめにあっていることを話そうとしません。また、いじめている子どもは、さとられないようにかくします。だから、いじめは、 周囲の者がなかなか気付かないものです。しかし、どんな場合でも子ども自身からは何らかのサインが出ているのです。大人は、それを見逃さないよう、気を付けることが大切です。しかも繰り返し行われ、次第にエスカレートしていきます。

~いじめのパターン~
○ことばによる暴力
○無言、無視、仲間はずれ
○表向きはふざけて見える行為
○金銭、物品の強奪
○直接的暴力、おどし
○いやなことを強要
~こんな変化には気を付けましょう~
いじめている側もいじめられている側も様々な変化が現れます。微妙な変化を親として見逃さないよう、 目を配りましょう。
○物思いにふけったり、ため息をついたり、口数が少なくなる。
○家族を避け、隠し事があるような気配がある。
○登校時になると具合が悪くなる。
○急に学習意欲がなくなったり、なげやりになったりする。
○衣服が汚れたり、破れたりしていることがある。
○持ち物をなくしたり、こわされたりすることがある。
○怒りっぽくなったり、乱暴な言葉づかいや態度が多くなる。
○顔色が悪くなったり、目つきがきつくなったり、視線をあわせ
 なくなったりする。
○髪型や服装を気にする。
○金づかいが荒くなったり、頻繁に小遣いを要求したりする。
○帰宅時間が遅くなったり、わけを聞いても答えなくなったりす
 る。
~いじめられている子どもへの親の接し方~
親は、いじめたり、いじめられたりしていることに気付いた時、子どもの心を開かせ、早く問題を解決させるために、どんなことがあっても子どもの味方になるという姿勢をくずさずに 真剣に対応することが大切です。
○子どもの追いつめられている気持ちをまず受け入れる。
○どんな話でも口をはさまず、じっくりと聞く。
○子どもは苦しみの極限にあるから、弱さを責めたりしない。
○子どもの味方になって、立ち直る手立てを一緒に考える。 (子どもを抜きにして、いじめっ子やその親に直談判するのは、
 逆効果)
○担任に子どもの悩みを正しく伝え、解決の方法を一緒に考え
 る。(学校との連携は、とても大事です。心を割って、話し合
 いましょう。)
○子どもに非がある場合もあるので、子どもの性格、行動、友人
 とのかかわりなどを正しくつかんでおく。
~いじめている子どもへの親の接し方~
○なぜいじめているのか穏やかに聞く。言い分にも共感しながら
 話を聞き、自分の行為を振り返らせ、 改めることができないか
 を考えさせる。
○いじめられている子どもの苦しみや痛みに気付かせ、自分に置
 き換えて考えさせる。
○直接手出しをしなくても、はやしたてたり、そばで見ているこ
 ともいじめと同様の行為であることをわからせる。
○いじめは愚劣な行為であり、人権を無視した恥ずべき行為であ
 るので絶対に許すことができないという厳しい態度で接する。○家庭が子どもにとって、居心地の良いものであったか、親子の
 関係が温かいものであったか振り返り、直すべきところは親も
 直す。
~いじめを発生させないために家庭で心がけたいこと~
○子どもが安らげる家庭を作る。
○家庭の中でも、常に相手を思いやる気持ちで行動する。
○何でも気軽に話せるような雰囲気を作る。
○いじめは、思いやりのない悪いことであることを常に話してお
 く。
○自分に関係ないと見て見ぬふりをするのもいじめに荷担してい
 ることだと話す。
○子どもの小さな変化も見逃さないように、日頃から気を付けて
 おく。
○何があっても子どもを守るのが親のつとめだという態度で子ど
 もに接する。
~地域で気を付けてほしいこと~

○子ども達の遊びや行動で気になることがあったら、声をかけて
 様子を聞き、家庭や学校にも知らせる。(例えば、仲間はず
 れ、ひやかし、使い走り、いだすらの強要、暴力など)
○ふだんから、声をかわす。

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(18)地域の一員として生きる

子どもは、いつの時代でも、学校で学び、家庭で育まれ、地域社会で鍛えられて 一人前になると言われてきています。その3つのステージはそれぞれ味が違いますが、 どれも不可欠です。

今、青少年に最も欠けているのが地域社会の一員としての体験です。この地域とのかかわりが 郷土への愛着にもつながるものです。国際化社会といわれる今日ですが、故郷を知らず、 故郷を愛さずに、世界への眼だけを開こうとしても、できるわけはありません。

ですから、意図的に地域の活動に我が子をかかわらせたり、隣近所の人たちとのふれあいをすすめたりすることが必要となってきます。

回覧板回しでも、なんでもかまいません。地域の人々と接触する機会を作り、地域の一員であることを自他ともに認めさせることが大切です。

地域のイベントに参加させることもいいでしょう。できれば、大人が段取りをしたところに顔を出すというよりは、役割分担をさせながら、地域の活動を担っているのだという責任を持たせたいものです。地域の人達に認められながら、地域の若者として育つことは、 子どもにとって、大きな支えとなるはずです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
親とは会話をしなくても、小さい時から世話になってきた近所のおじさんやおばさんに話しかけられれば、意外と素直に受け応えをするものです。地域の方々の力は、どんどんお借りしましょう。

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(19)子離れの準備

日本の民法では、成人は18歳から。

ところが、18歳になったからといって、独り立ちができるかといえば、そうでないのが現状です。子どもが自立するためには、親の側にも子どもを自立させる準備が必要です。「うちの子は、何もできないから心配だ」「うちの子は、まだ、子どもだから」と言って、子どもを手放さない親の中には、「我が子が生きがい」「我が子がすべて」という タイプが多くいます。何でも子どものやることを先回りし、子ども中心の生活を作り上げ、 子どもが不自由な思いをしなくてもすむように日夜努力している親も案外多くいます。

しかし、親離れをしようとしている思春期真っ只中の中学生に乳幼児期と同じような扱いを続けていったら、 子どもの自立は望めません。

多少、危険が伴っても、自分で判断できる中学生時代です。子どもを信頼して、様々な体験をさせ、 責任を持った行動をさせることが大切です。親が手を出したり、口を出したりしたくなるでしょうが、 じっと見つめていること。これが、子離れの第一歩です。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
親自身が、自分の仕事や趣味などで、普段の生活が満ち足りていれば、子どもの自立を見守るゆとりが出てきます。

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(20)おやじの出番

地震、雷を持ち出すまでもなく、昔、おやじは実に怖い存在でした。

今日の父親は、どうでしょう。

「家族は情緒的集団で、動物と同じだから、私はボスで押し通した」というある父親は、 息子が二十歳の誕生日を迎えた日、「私の子育ては終わった」と宣言し、 子育ては楽しかったと話しておりました。子育て終了宣言を言える父親こそ、 出番をわきまえたおやじではないでしょうか。

現代は、物も情報も豊富にあり、一見暮らしやすそうではありますが、 大人も子どもも多かれ少なかれストレスを抱えて暮らしているのが現状です。 中学生は、特にも心の揺れの多い時期です。善悪の判断や社会正義にかかわる事柄、 様々な不安や悩みには、おやじの厚い胸を貸しましょう。

我が子と正面から向き合い、将来をしっかり見据えて、毅然とした態度で望むこと。 進路の決定や悪をいさめるなどということは、最も大事な出番です。そんな時、 母親まかせにしたり、オロオロしたりしていては、おやじ失格です。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
おやじがうまく活躍するには、ふだんからの夫婦のあり方が問われます。 夫婦のコミュニケーションを大事に、互いを思いやりながら生活するよう、心がけましょう。

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(21)言うべきときに言える強さを

中学生になると、家庭より学校、そして友達との関わりがいっそう強くなり、 第二反抗期ともあいまって親とはしだいに距離を置くようになります。

また、この時期は、理想に燃え、正義感が強まり、親達の現実的な考え方や暮らし方に反発したりもします。そのため、一緒にいたがらず、話しかけても無視したり、 口ごたえしたりすることが多くあります。しかし、親はそんな時でも感情的にならずに ゆったりと接することが大切です。とは言っても、安易に調子を合わせたり、 妥協して機嫌をとったりはしないことです。

この時期は、グンと行動範囲が広まるし、仲間に影響されて反社会的、非社会的行為に走る危険もあるので、そんな場合は両親の考えを統一して、毅然とした態度で望むことが大切です。父親は特にも毅然とした態度で、母親はそれをフォローする呼吸が大事でしょう。

あからさまな嘘をついたり、人をみくびったり差別したりするようなことがあったら、 一歩も引かない親の姿が重要です。親自身が自分の考えをしっかり持ち、よそではどうであろうと、「我が家はこの方針で」を通す強い信念が望まれます。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
人間として当たり前のことを教えなければ、後々困るのは、我が子です。 口当たりのいいことだけでは、一人前の人間には育ちません。

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