7.中学校編①

~子育てワンポイントアドバイス~

(1)社会が変わっても

世の中はずいぶんと変わりました。便利なものがあふれています。楽しいことも多くなりました。

家の中ではどうでしょう。祖父母がいない家庭も増えました。家族が少なくなっただけではありません。 両親とも、仕事や付き合いや趣味などに忙しく、家族の顔が揃わない日も当たり前の家庭が増えてきました。でも、どんなに互いに忙しくても、親にとっては子どもは何にもまさる宝です。子どもにとってこの世で最も好きなのは、父親と母親です。これは今も昔も変わりません。 家族がともに過ごす時間を心してつくりましょう。世の中が変わった、家庭も変わったと一口に言いますが、 世の中は変わっても、「良い家庭」というものは、そんなに変わらないものです。 社会の倫理に裏打ちされた厳しさ(父性)と理屈抜きの優しさ(母性)を言葉プラス行動であらわし、 子どもを包みたいものです。父性と母性のバランスのとれた明るい家庭、これは永遠の理想像です。このような家庭の中で育まれ、子どもから脱出して息子と娘に成長します。そして大人になるのです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
「よそ様は、よそ様。これが我が家流」と胸を張れるルールを作るのもいいですね

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(2)ゆれる心・思春期の頃

中学生の時期は思春期とも呼ばれてきました。思春期とは、二次性徴が発現してから大人として成熟するまでの時期ですが、最近では二次性徴の発現が早まる傾向にあり、特に女子では、小学生から生理が始まる子も多くなってきました。一方では、社会的、精神的に大人になるまで、かなりの時間がかかるようになり、子ども、青年、成人の区分があいまいになってきています。

二次性徴に伴い、子どもはまず、身体の変化に直面し、男性として、女性としての身体を持った 自分を受け入れることが課題となります。この時期の心身の変化は急激で、自分でコントロールできないような内的衝動に子どもはとまどってしまいます。これは、いつの時代の子ども達にもあったことですが、今日では、身体の発達に心理的な発達が伴わないのに加えて、学歴社会、競争社会の中でのストレスが大きくのしかかってきています。大人になりたい気持ちと不安の間を揺れ動き、将来を見通せないまま、対人恐怖や不登校といった悩みを抱える中学生も多くなっているのは事実です。

子どもの揺れる心を丸ごと受け止めることができるゆとりを親としてもちたいものです。

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(3)中学生の抱えるストレス

会社勤めのお父さん達と同じように、中学生も結構ストレスにさらされています。ひまそうに見えるのは家の中だけで、いったん外に出ると例外なく忙しいのが、今どきの中学生。また、一人として不安や悩みを抱えていない子はいないのが現状です。勉強に関する不安、 友達関係の悩み、容姿や能力についての劣等感、家庭生活における悩みで心が不安になっています。 それに加えて、休日返上の部活動で体もへとへとに疲れていれば、心も体もオーバーヒート。

このような不安や悩みが大きなストレスとなり、心の病気となって現れることも時にはあります。子ども達が心のバランスを崩さずに、明るく毎日を過ごすにはどのようなことに気を付けたらよいのでしょうか。

子ども達の感じている不安や悩みの多くは、そのほとんどが、私達大人がかって経験し、乗り切ってきたことです。たとえ、悩んでいる様子が見られても、深刻に考え過ぎずに大らかに 受け止めることが大事です。先回りし過ぎて大騒ぎをしても、良い結果は生まれません。 子どもの話をじっくりと聞き、子ども自身が解決の糸口を見つけることができるよう、さりげなくアドバイスしたいものです。ただし、決して、親の考えを押しつけたり、 親の敷くレールに無理やり乗せようとしたりしないこと。子ども自身が自分の力で乗り越えられるよう、 陰から支えましょう。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
時には、一緒にスポーツで汗を流したり、自然を感じながら野山を歩いたり、 キャンプを楽しむこともストレス解消や親子での会話の機会を増やすことにつながります。

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(4)「反抗」は自立のための第一歩

中学生にもなると、学校や家庭での生活の他に、将来どういう職業を選択し、社会でどのような生活をするかなども考え始めます。とは言っても、まだ、具体性はなく、 自分の方向はまだ定められないのが実情です。

この時期は、何でもできるような「万能感」を持つ一方、自分だけがダメなんだという「劣等感」の間で揺れ動きます。また、周囲に対しても批判意識と依存感情で葛藤します。 こうした内面の不安定さが、身近なところにいる親や教師への「反抗」という形で現れることがあります。 本人自身、何で反抗するのかはっきりわからないでいることも多く、対処に苦慮します。 しかし、自我は、「抵抗」に出会うことで確実に育ってくるのです。「子どもの抵抗」は、 親にとっては「反抗」と言えますが、子どもにとっては親の保護からの独り立ちや自分自身の確立という意味で、社会人になっていくための大事なステップ(親離れ=心理的離乳)となるのです。

価値が多様化し、選択肢の多い現代においては、子ども達が「抵抗」の対象を見付けることが難しくなってきています。「ものわかりが良く、何でも子どもの言うことを聞く親」との間では、子どもは、抵抗の対象を見出すことができず、葛藤することなく、自我も育たないまま成長していきます。そして、初めて、社会との関わりで抵抗を感じた時にその抵抗を乗り越えることができず、「心身症」や「不登校」などという形で表面に出てくる場合があります。

親としての重要な役目は、子どもを保護すると同時に、社会のルールや自分の価値観、態度をはっきり示し、子どもの抵抗の第一番目の対象となることなのです。

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(5)身体の発達傾向

男女の違いがなく発達してきた子どもが、女子は10歳頃から、 男子は12歳頃から急に身長が伸び始めます。これを「身長のスパート」といい、 思春期がやってきたことを示します。思春期になると体が急に発達し、男女によって体つきや 生理現象にも違いが見られるようになります。これを二次性徴といいます。その発育、 発達の程度や速度には個人差も出てきますが、一般的に女子の方が男子より2年ほど早く始まります。

~思春期の体の変化~
思春期は、ホルモンの働きにより、生涯を通して一番ドラマチックな性成熟がおこる時期です。女子は、卵巣の発達により月経が始まります。男子は、精巣の発達により射精がおきます。
【成長ホルモン】
脳の下垂体から分泌されるホルモンで、骨、筋肉、内臓、皮膚、毛などの成長を促進させます。
【性ホルモン】
精巣や卵巣から分泌されるホルモンで、体つきを変化させたり、生殖器の発育を促進させます。
【女子の変化】
乳房が発達する、わきの下や性器のまわりに毛がはえてくる、皮下脂肪が増える、腰はばが広くなる、丸みのある体つきになる【男子の変化】
声変わりが始まる、髭や脇の下性器のまわりに毛がはえてくる、筋肉が発達する、肩はばが広くなる、たくましい体つきになる

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