6.小学校高学年編④

~子育てワンポイントアドバイス~

(16)親子でチャレンジ アウトドア

阪神大震災の時にいち早く救援ボランティア活動に駆けつけた方の話です。 被災者の方々に何が欲しいかたずねたところ、温かいご飯が食べたいというのが 最も多い声だったそうです。「しまった、米を持ってくるんだった」と声をあげたら、「米ならあるよ」との声。そこで、瓦礫の中からつぶれた鍋と木切れを集め、ご飯を炊いたそうです。 ふつふつと湯気があがり、ご飯の炊ける甘い香りが一体に漂いました。みんなで炊き立ての味をじっくりと何日かぶりに味わいました。「ご飯って。こうして炊くのだったのね。 忘れてたわ」と60歳代の女性がぽつり。炊飯器がなくても、電気がなくてもご飯は炊けるのです。

アウトドア志向の時代といわれるこの頃、夏になると豪華なキャンピングセットを積んだ車が駆け巡ります。手ぶらで行っても楽しめるキャンプ場もあります。しかし、野外活動は、特別な設備や場所がなくてもできるのです。焚火やバーベキューの火をおこすことから始めるのもいいでしょう。 以外と難しいものです。力を合わせなければなりません。火がおきたら、ありあわせの材料で食べる物を作ってみましょう。煙も灰も普段味わえないスパイスになります。嫌いなものだって、おいしく食べることができるでしょう。親子で調理をしながらだったら、会話もはずみます。子どもにとって、親のやることを直接まねができるいい経験となります。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
何かをつくる楽しさや、力を合わせることの素晴らしさを子ども達に伝えるには、野外活動は最適です。 家の庭でもいいのです。キャンプをしてみませんか。

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(17)地域とともに子育てを

子ども達は、家庭だけではなく学校や地域から様々な影響を受けながら育ちます。

特にも、地域の中からは、人間として生きていくための知恵を実践を通して教わります。地域から学んだことがらは、生きていくための大きな支えとなります。 自分の住んでいる地域の素晴らしさや地域の人達に支えられて生きているのだという実感を味わわせるためにも、地域で行われる様々な活動に親子で参加することが大事です。

あなたのお子さんは、大人に混ざって地域の祭りで神輿をかついだり、 地域の公園の清掃をしたり、地域のスポーツ大会に参加したことがありますか。 地域の自治会等では、世代を超えた様々な活動が行われています。このような時こそ、 地域活動に子ども達を参加させる良いチャンスです。いろいろな人達と交流を深めることで、 地域の子どもとして認められていきます。地域の大人の暖かなまなざしの中で子どもが成長できることは、 子どもにとっても親にとっても素晴らしいことです。地域の中に融けこんでいけば、「隣は何をする人ぞ」 といった感じはなくなります。子育てについての不安や悩みだって気軽に話し合えるような 関係もできてくるのです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
よそのおじちゃん、おばちゃんに一人前に扱われると、いっぱしの大人になった気がして、うれしいものです。

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(18)身につけさせよう生活習慣

「起きなさい」と毎朝叫んでいませんか。親の手助けなしに自分で起きる、これが一日の始まりです。

「おはよう」とあいさつしていますか。これは、一日を明るく暮らすための最初の一言です。 まずは、親の方から声をかけましょう。

「いただきます」と家族みんなで声をそろえましょう。子どもたちにも年齢に応じた家事を分担させましょう。

団欒の後は、少し勉強でもしましょうか。それとも食事の前に勉強をすませてしまいますか。 少しでいいのです。毎日決まった時刻に決まった時間勉強するという習慣をつけるには、 小学校高学年はちょうどよい時期なのです。

さあ、眠る時間がやってきました。ネットやゲームは切り上げさせましょう。 さもないと、中学、高校になって、とめどもなく夜更かし朝寝坊タイプになってしまいます。

これらのことが毎日同じリズムで実行できるように心がけましょう。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
子どもによい生活習慣を身に付けさせるコツはいたって簡単です。それは、明日と言わずに今日から実行することです。

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(19)わが子のもち味を大切に

料理の上手な子(特技)、親切な子(性質)、いろいろな事に興味を示す子(興味関心・意欲)など、 人は誰でもその人にしかない「もち味(特徴)」を持っています。

この長所を伸ばさない手はありません。その子のもつ良さをどんどん伸ばしていくことこそ、 子育ての基本となります。「長所を伸ばしていくと、短所は弱まる」との昔からの言い伝えもあります。

皆さん、お子さんの長所がすぐに思い浮かびますか。一つ、二つと浮かんでくる方は、 子どもにとっては実に素敵な親であると言えましょう。逆に、子どもの短所だけが浮かんでくる方は ちょっと考えものです。「こんな事も、あんな事も何もできない」などという目で子どもを見れば、 子どもの良さを見つけられるはずがありません。そのようなタイプだと思った方は、 見方を変えてみてください。日常生活の中から必ず長所が見つかるはずです。 それがお子さんのもち味なのです。そのもち味を大事にして、伸ばしていきましょう。

「もち味」を発見する手がかりは、「興味と関心」です。何をしたがっているかを見つけてください。

最初は幼稚で次元の低いものかもしれませんが、好きなこと、 やりたくてたまらないことを積み重ねていくうちにしだいに高度なものに発展していきます。 その中で、学ぶ意欲や生きる力が身についていくものです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
子どもの行動を規制するばかりでは、子どものやる気をそいでしまいます。 長い目で見守ることが大切です。

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(20)さまざまなタイプの親がいるけれど

親に似ていない子なんて、一人もいません。顔の形はもちろんのこと、言動や価値観にいたるまで、 「親の言う通りの子」よりも「親のやる通りの子」が育ちます。それは、 親の姿を毎日見て育つからに他なりません。良くも悪くも親の姿はそのまま子どものお手本になります。

お手本に望まれる第一の条件は、なんといっても両親が仲良くすることです。 円満な家庭では、思いやる心も育ち、おのずとコミュニケーションも図られます。 たとえ、仕事の関係で父親が不在であっても、その父親を思いやり、 家族みんなで力を合わせようとする心も育ちます。

第二の条件は、家庭の中に愛情があふれていることです。信頼し、尊敬し合い、 家族一人ひとりを大切にする家族であれば、子どもは自分の居場所がわかります。

「人のふり見て、我がふり直せ」と言われますが、あなたも次にあげるような親になってはいないか、時々、振り返ってみませんか。

【溺愛型】
この世の中に我が子ほどかわいいものはないと思うのは当たり前のことです。必要以上に世話をやき、べったりくっついていると、依存心の強い子になりがちです。一人前の人間として扱うことが大切です。
【矛盾型】
子どもが同じ事をしても、その時の気分で怒ったりほめたりする気まぐれな親だと、 子どもはどう対応したらよいか迷ってしまいます。親の顔色をうかがう子どもになりがちです。
【干渉型】
親がやたら手も出し口も出し、指示や注意が多すぎると、指示がなければ動けない子どもになりがちです。自分の力でやってみようという気持ちをつぶしてしまいかねません。
【放任型】
親が子どもに無関心で、放りっぱなしだと、子どもは愛情に飢え、情緒不安などから攻撃的になったり、 素直さに欠けたりすることがあります。「自由にさせる」ことは、「放任する」ことではありません。

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(21)しっかりほめて、ぴりっと叱る

料理に甘辛味はつきものです。子育てにだって、甘さ(ほめる)と辛さ(叱る)の両方が必要です。 成長する節目にほどよく味付けしてこそ、きりりとした子どもが育ちます。

「七つほめて、三つ叱れ」などと言われますが、その子どもの性格によりけりで、 一様には言えないでしょう。ほめて伸びる子もいれば、叱って伸びる子もいます。 子どもにも感情があるので、叱られるよりはほめられるとやる気を起こし、 前向きに行動する方が多いと言えます。しかし、おだてたり、こびたり、 ほめちぎったりと過剰に対応するのは考えものです。良かったところを的確にとらえ、タイミングよく、しかも心の底からほめることができれば最高です。

小学校高学年ともなれば、事実の背景や因果関係を理解することができます。だからこそ、事実に即し、根拠を明確にしてからほめたり、叱ったりすることが大切です。先入観やその場の雰囲気、感情などで叱ったりするのは考えものです。なぜなら、統一性を欠いた対応の仕方に子どもが納得できず、親への反感だけが膨らみ、逆効果になってしまうからです。

命にかかわること、人道的でないこと、社会的なルールに反すること等、たとえどんな事情があっても厳しく教えなければいけないことがあります。それらをないがしろにして、箸の上げ下ろしに代表されるような細かなことにだけうるさく口を出すのではいけません。

甘辛は、子育ての大切な味付けです。心から愛情をこめたほめ方、叱り方を工夫したいものです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
家族みんなが同じ考えで、子どもに対応することが大切です。人によって対応の仕方が違えば、 子どもも混乱します。

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