6.小学校高学年編①
~子育てワンポイントアドバイス~
6.小学校高学年編
(1)変わる社会
(2)高学年の心理
(3)反抗期を考える
(4)身体と心の変化
(5)身体の発達
(6)生活リズム
(7)家庭の性教育
(8)食生活で意欲を
(9)おやつの与え方
(10)大事な朝食
(11)手足に力を
(12)読書のすすめ
(13)家庭学習
(14)集団遊び
(15)必要な失敗体験
(16)親子でアウトドア
(17)地域で子育て
(18)生活習慣
(19)わが子のもち味
(20)親のタイプ
(21)ほめて叱る
(1)変わる社会、変わらぬ家庭
車もあります。テレビも冷蔵庫もずいぶん大きくなりました。 男の子のファッションもカラフルになってきました。世の中は、ずいぶんと変わりました。
子どもの世界も様変わりしました。大きい子から小さい子まで群がって遊ぶ姿は、 地域では見られなくなりました。ゲーム機などで独り遊びに熱中する子、 塾通いで忙しい子も多くなりました。
家の中ではどうでしょう。パパやママも仕事で忙しいようです。 おじいさんやおばあさんがいない家庭も増えてきました。家族が少なくなった上に、 家族全員がそろう時間も少なくなってきました。
でも、親にとって子どもは何にもまさる宝であり、子どもにとって、この世で一番好きなのはパパでありママなのです。これは、 今も昔も少しも変わりません。世の中が変わった、家庭も変わったと一口に言いますが、 世の中は変わっても、「良い家庭」と言われるものは、変わるものではありません。
パパは、仕事にかこつけて、家を空けすぎてはいませんか。ママ、 忙しいからといって、子どもにあたりちらしてはいませんか。おじいさん、おばあさん、 孫の前で親達のいやみを言っていませんか。大人達は、自分の行動を振り返ってみましょう。
思いやりの気持ちをもち、共に過ごす時間をつくり、お互いをわかりあおうとする心で 相手と接するならば、家族の心は一つにまとまります。それが、今も昔も変わらぬ 「良い家庭」と言えるのではないでしょうか。
笑顔とあたたかい声がけが家庭の心をつなぎます。
◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
食卓を囲んで、1日のできごとを話し合ってみませんか。思いだけでは、なかなかコミュニケーションはとれません。まずは、ちっちゃな会話から初めてみませんか
(2)高学年の子どもの心理
小学生の年代の子どもは、乳幼児や中学生に比べ、身体の発達が比較的穏やかで、心の動きも安定しています。しかし、最近、不登校やいじめ、自殺、非行など、小学生にかかわる様々な問題も増えるに従い、この時期の子どもの心理的な発達についても関心が持たれるようになってきました。
高学年になると、学校での勉強も難しくなり、不得意教科が出てくることもあります。 進度についていけなかったり、学習内容が理解できなかったりして、劣等感を持つようになったりもします。幼い頃には感じなかった様々な感情も生まれてきます。このような心の動きを親に対して素直に打ち明けなくなるのも、この時期の特徴です。
また、交友関係が広がってくるので、家族よりも仲間同士のふれあいを大切にするようになっていきます。親に対して秘密の世界も大きくなり、その中に入り込まれたくないという気持ちも出てきます。
今まで何でも話していた子どもが、急によそよそしくなったり、親と話もしなくなったりするので親は当惑しますが、この時期はまさに親からの自立の時期、友人の中で自分を見つめ直す時期と考え、今までよりも少し離れて子どもの成長を見守りたいものです。
◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
体は大きくなっても、まだまだ子どもです。自立したいと思う気持ちと甘えたい気持ちが混在しています。そこを理解してあげたいものです。
(3)反抗期を考える
大人の体に変わっていくこの時期には、身体的にも情緒的にも非常に不安定です。この時期には、内から湧き出す衝動をコントロールしながら、正しい判断や責任ある行動ができるような心を育てていかなければなりません。
ところが、気持ちの準備が整っていないところに生理が訪れたり、今まで経験したことのない性衝動につき動かされたりと、子ども達は大きな不安を経験します。そこで、今までおとなしかった子どもが急に暴力的になったり、口をきかなくなったりするので、当惑してしまう親もいます。
このような現象は、第二反抗期と呼ばれてきました。この時期を乗り越えるには、 子ども達の反抗をしっかりと受けとめる対象が必要です。そこでのやりとりの中で子ども達の自我も成長していきます。ところが最近、誰にどのように反抗していけばよいのかわからないまま、いらつく子ども達が増えてきています。イライラした気持ちがつのり、対象や目的のはっきりしないいじめや暴力という形で内にたまった感情を発散する子ども達も見られるようになってきました。とかく親達はおよびごしになりがちですが、こうした子ども達から逃げないで、子どもの気持ちを受けとめることが大切です。
◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
やって良いこと、悪いことが、親の責任ではっきり示すことが大切です。ものわかりが良いふりをして、教えなければならないことをうやむやにするのは、子どものためになりません。
(4)身体に表れる心の変化
不登校気味の子どもが、朝「お腹が痛い」とか「頭が痛い」と言って、 起きようとしないことがあります。そんな時、「嘘をついているんでしょう。 また、仮病ばかり使って」と腹を立ててはいませんか。実は、嘘をついているのではなく、本当にお腹や頭が痛くなっている場合もあるのです。 「学校に行きたくても行けない」という心の状態が身体にうつしだされ、 痛みとなってあらわれたのです。
乳幼児は、心と身体が密接に関係しているので、わずかのストレスや欲求不満で熱を出したり、 下痢をしたりします。ところが、小学校も高学年になると心身の機能が分化し、 欲求や行動をコントロールする力も強くなってくるので、乳幼児のように直接身体に 影響をおよぼすことは少なくなります。しかし、最近、この時期の子ども達の中にも 様々な欲求を押さえることができず、不満やストレスをいろいろな形で外にあらわすように なってきました。最近は、大人にもストレスを身体の症状として現わす「心身症」が増えてきています。気持ちを聞くことが大切ですが、気持ちを伝えられない子ども達の 「身体から発せられる言葉」を受けとめることはもっと大事です。
◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
疑いの目で見ると、すべてが悪く見えてきます。あたたかいやさしいまなざしで 子どもを見つめることができるようにしたいものです。
(5)身体の発達の傾向
体の発達には、男女差や個人差があります。この差を教えることで、子ども達は、自分の成長や変化に不安をもたなくなります。成長したことへの喜びや、将来への期待を親子で話し合える雰囲気は家庭でつくっていきたいものの一つです。
また、体は大人になる準備が始まります。大きく変化が現れ、 子どもは不安を感じたりしがちです。そんな時こそ、さりげなく親が子どもに話しかけることが大切です。
【発達における男女差】
小学校高学年の頃は、女の子の発育の方が一般的にはやいと言えます。 身長や体重の平均値では、男子より女子が上回っています。
【発達における個人差】
小学校高学年の頃は、発達が著しい時期ですが、一人ひとりの発達のしかたにもかなり違いがあります。はやく大きくなる人、ゆるやかに大きくなる人、 後から急に大きくなる人など個人によってかなり差があります。
【大人への体の変化】
個人によって差があります。女子は皮下脂肪がつき、ふっくら丸みを帯びた体つきになります。また、卵巣が発達し、月経が始まります。男子は筋肉が発達して、がっしりした体つきになってきます。また、精巣が発達し、射精が始まる子もいます。これらはホルモンの働きによるものです。
◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
ブラジャーを身につける目安は、ある程度乳首が形づくられてからです。 正しい下着の付け方を教えることが大切です。
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