3.小学校入学時期の子育て③

~子育てワンポイントアドバイス~

(11)学校では、どんなことを学ぶの?

「今日は、どんな勉強をするの?」「先生、早く勉強しようよ」

一年生の子どもたちは勉強するということに対して大きな期待感を持ち、 やる気まんまんで登校してきます。

子どもたちにとって、学校で勉強するということは、幼稚園児や保育園児ではない、まさに「小学生なんだ」という証でもあるのです。「わかった」「おもしろいね」 「もっとやりたいな」などとすぐに反応を示しながら楽しく勉強しているのが一年生の子どもたちです。

学校では、様々な学習や活動を通して、自ら学び、考える力を育成し、子どもたちの豊かな人格を形成していきます。

~小学校1年生の主な学習内容~

【国語】
○ひらがなやカタカナ、漢字(80字)を正しく読んだ
 り、書いたりします。
○できごとの順序をおさえて文に表します。
○登場人物の気持ちを考えながら文章を読んだり、聞い
 たことを話したりします。
【算数】
○100までの数を理解します。
○加減の計算をします。
○大きさ、長さ、量の比較をします。
○かたちを覚えます。
【生活】
○具体的な活動や体験を通して、自然や社会と自分との
 かかわりを知り、自立の基礎を養います。
○学校探検や草花遊び、家族の役割、季節ごとのくらし
 などについて学びます。
【音楽】
○いろいろな曲を楽しく歌ったり、聞いたりします。
○鍵盤ハーモニカやリズム楽器を使って、演奏します。【図画工作】
○いろいろな素材を使って工作をします。
○感じたことや思ったことを絵に表します。
【体育】
○集団での行動を身につけます。
○鉄棒やマット、とび箱を使った運動、かけっこ、なわ
 とびボールを使った遊び、水遊びなどをします。
【道徳】
○人間としてのあり方や生き方の基礎となる価値観につ
 いて学びます。良いことと悪いことを区別したり、う
 そをつかないとか、気持ち良い言葉づかいをしたりす
 ることもその一つです。
【特別活動】
○集団の一員としての自覚を高めるための活動をしま
 す。学級のための活動をします。学級のためになる仕
 事を分担するのもその一つです。

~学校生活を通して~
○掃除や給食の配膳などを通して、力を合わせて仕事を
 することの大切さや楽しさを学びます。
○友だちと仲良く遊んだり、時にはけんかをしたりしな
 がら、望ましい人間関係や社会生活上のルールを身に
 つけます。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
すべての学習の基礎は、「話を最後までしっかり聞くこと」です。 パパもママも子どもの話にきちんと耳を傾けていますか。まずは、親から手本を示しましょう。

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(12)家族そろって「学習モード」

一年生の一学期は、あっという間に過ぎていきます。夏休みの前には通知表がきます。保育園や幼稚園との違いです。子どもはいたって平気なのに、親はドキドキ。 さあ、ここが大事です。初めての通知表はほめましょう。「ママの一年生の時より、ずっといいね。パパに似たのかな?」(パパは、ママに似たなと言えばいいでしょう)これができたら、 通知表との出会いはほぼ完璧です。

親とすれば、入学する前にどの程度読み書きや計算ができればいいのか気になりますね。「ママ、”れ”という字が書けるようになったんだよ」と 6月になってランドセルを鳴らして上機嫌で帰宅した子がいました。他の子どもと比較して、 決して早く覚えたわけではありませんが、書けるようになったという満足感で心はいっぱいです。そこでほめれば、子どもの心は「学習モード」に突入です。スタートが早いのも遅いのも個性です。あせって叱って、勉強嫌いにさせたら逆効果。おくての子は、後で伸びる楽しみがあるのです。ゆっくり待ってあげましょう。

ただし、知的好奇心を育む雰囲気を家庭の中に作っていくことが大切です。たまには、テレビを消して、新聞や本をじっくり読んでみませんか。そんな姿を子どもに見せましょう。また、仕入れた情報をもとに子どもときちんとした日本語で語り合いましょう。これで家庭の中も「学習モード」に変わります。「勉強したの?」「さっさと勉強しなさい」と口うるさく言うより、ずっと効果的です。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
一年生の授業では、じっと机に向かって一人で作業する時間はそんなに多くはありません。 家庭でも机にしばりつけるようなことはさせないで、親子で交互に声を出して本を読むとか、しりとりをしながら字を書くとか、ゲーム感覚で勉強するのもいいですね。

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(13)生活力の向上

「先生は学力だけで生徒を測る」とマスコミは、よく言います。しかし、受験期に向けて偏差値や得点に一喜一憂するのは、マスコミより親の方ではないでしょうか。

現在、日本の学校は欧米先進国に比べると、生活体験を広げるための学習にかなり力を入れています。家庭や社会を支える大人になるために、そして、応用力のある人間になるために生活体験が大事であると考えているからです。

生活習慣と基礎的な生活技術がしっかりと身に付いていれば、勉強だってできます。「雑巾がしぼれますか」「じゃがいもの皮がむけますか」今日から家の中の仕事を少しずつさせていきましょう。子どもは親と一緒に仕事をするのはうれしいものです。ほめられれば、ますますやる気が起きます。親だって、子どもがやる気を見せればうれしいものです。仕上がりは、親がやった方が立派だとは思いますが、そこは、がまん、がまん。

手仕事を通して覚えた勘の良さは、何よりの財産です。

どんな手順で仕事をしていけばいいのかもわかります。この力は学習面でも発揮されます。

こうして育った子どもは、将来どんな職業につこうとも、生活面での心配は何もいりません。働く意欲があって、自分の身の回りのことができる大人にすること。 これが家庭で行う教育の究極の目標です。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
子どもが大人になった時まで、面倒をみることができないことを肝に銘じて子育てをしましょう。

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(14)失敗は成功のもと

ロビンソン、クルーソーを知っていますか?

彼は、無人島に流れ着き、失敗を繰り返しながら、勇気と知恵を働かせ、一人で生き抜いていった人物です。文明の利器も、相談相手もいない状態の中で、自分を信じ、最後まであきらめなかったロビンソン。 人間は、もともとロビンソンのような生きるためのチャレンジ精神を持って生まれてきているのです。しかし、現代の大人や子どもを見るとその精神が薄れてきているような気がします。

昔から「失敗は成功のもと」と言われてきました。困ったときに、「ああでもない、こうでもない」と考え、失敗を繰り返しながら、解決方法を探ってきたのです。 ところが、この頃「ああしなさい、こうしなさい」と指示する親が増えてきました。 指示通りにすれば、失敗も少なく、効率よく結果が出せます。でも、親の考えだけに従っていたのでは自分で物事を考えなくなってしまいます。「考えない子ども」にしているのは大人です。子どもたちの中に「指示待ち人間」が 増えてきているのはそのためではないでしょうか。

子どもたちに何かをさせたいときには、指示を出す前に時間を与えましょう。 心の中で「ワン、ツー、スリー」と唱え、待ちの姿勢をとりましょう。その間にきっと子どもたちは自分で考えるはずです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
うまくいかなくても、けっこう。失敗した時に責めないで、ちょっぴり知恵を貸してあげましょう。

主役はあくまでも子どもです。

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(15)親子の距離を縮める工夫

「親子の会話がありますか?」との小学生への問いに3割の子どもが「ない」と答え、 残りの子どもが「話しはしても、二言三言」と回答したそうです。 親子の中での会話不足の様子がうかがえます。

だから、親子で共通の体験をし、共通の話題を持ち、共通の世界を築き、ふれあう喜びを分かち合うことが大切です。小さいうちがチャンスです。

とは言っても、何も特別なことをする必要はありません。「子どもは、風の子、太陽の子」と 言う例えのように、子どもは外遊びが大好きです。 まずは、外での活動、自然の中での体験を親子で行うことをおすすめします。

家の回りで図鑑を片手に草花の名前あてをしてみたり、採った花を押し花にしてみたり、 近くの川で雑魚取りをしてみたり、きれいな石集めをしてみてもおもしろいですね。 庭で火起こしをして、ご飯を炊いたり、いもを焼いたり、野原で虫をつかまえることだって、 楽しい体験です。岩手には、身近なところに自然がいっぱいあります。お金をかけなくても、 知恵をしぼれば何でもできます。子どもにとっては、すべてがおもしろく感じるでしょう。

親子で過ごした楽しいひと時は、忘れがたい記憶として心に残ります。 家から飛び出して、家族で様々な体験にチャレンジしてみませんか。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
ガキ大将だった頃の知恵を子どもたちに伝授してみませんか。ささいなことだとパパは思っていても、子どもにとっては目新しいと感じるものもあるものです。 子どもに尊敬のまなざしで見つめられたら最高ですね。

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