3.小学校入学時期の子育て①

~子育てワンポイントアドバイス~

(1)社会は変わっても

家の中に子どもはせいぜい一人か二人。祖父母が同居していない家庭も珍しくなくなりました。 隣り近所に遊び仲間がいなくなり、大人たちも近所の子どもに関心を寄せなくなりました。 人付き合いが少ないと、子どもの社会性も育ちにくいものです。

一年生になったら、まずは作りたいのが友だちです。

だまっていても友だちはできません。友だちをいっぱいつくるには、 友だちと様々なかかわりを持っていかなければなりません。その時、最も必要なのが、友だちそれぞれが違う人間だと受け入れる心です。それが社会性なのです。社会性は小さい時から多くの人々との付き合いを通して身に付きます。

今からでも遅くはありません。さあ、玄関のドアを大きく開いて、子どもとともに 近所の人たちとの交流を楽しみましょう。これが、社会性を身につける第一歩です。

さて、子どもが外の世界で活動するようになれば、楽しい経験だけを味わうとは限りません。 疲れたり、傷ついたりすることもあります。その時、帰る場所は家族の温かいふところです。 これは、大人だって、子どもだって同じです。

「あなたがいるから幸せ」という気持ちを子どもにしっかりと伝えておきましょう。 子どもを丸ごと受け止めてあげてください。これが親の愛情です。その愛情に支えられて、子どもはまた、外に飛び出すことができるのです。

「親の愛情をしっかり感じとらせる。社会性を身につけさせる」

今も昔も変わらぬ家庭の働きです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
わが子が、地域の人たちからいっぱい声をかけてもらえるような、人間関係を作り出すのも親の大事な役目です。

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(2)作っていますか、家族のルール

子どもたちは、家庭の中でルールを守ることを通して、 人との関係のあり方や社会のルールの大切さを学んでいきます。ルールを守る力が身に付いていれば、集団の中でも困ることはありません。みんなと楽しい学校生活を送ることができます。

家庭の中には、「挨拶をきちんとする」とか「起きる時刻や寝る時刻を守る」などの生活上のルールもあれば、「他の人に迷惑をかけない」とか「うそをつかない」 などの道徳上のルールもあります。

それでは、それぞれの家庭ではどんなルールを作っていったらよいのでしょうか。 ルールづくりの前に我が子をどのような人間に育てていきたいかということを親がしっかり話し合い、 子育てのビジョンを持つことが先決です。 そうすれば、子どもにこれだけは身に付けさせたいと思うことが出てくるはずです。 それを我が家のルールにしていくのです。

ルールができたら、パパもママもおじいちゃんもおばあちゃんも、 家族そろって守ろうとする気持ちが大切です。作りっ放しでは、意味がありません。

子どもがそのルールをきちんと守ったら、みんなでほめて、励ましてあげましょう。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
ちょっぴり大げさかなと思う位のほめ方をしてみませんか。小さな子どもにとっては、言葉や動作で表現しなければ、 なかなか気持ちは伝わらないものです。

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(3)一年生のこころの発達

小学校に入学すると生活の場がずっと広がります。教室や体育館、運動場、 そして通学路、すべてが新しい環境です。クラスの友だちや先生、上級生とも出会います。これまで接したことのない環境や人とのふれあいの中で、とまどうことも多くあります。学校の様々な規則にだって、初めて出会います。

もちろん、ほとんどの子どもは自然に新しい環境になじんでいきますが、 なじみ方には個人差もあります。その個人差は、性格や体力、家庭環境によっても左右されます。不安感が強かったり、几帳面すぎたり、体力に自信がなく疲れやすい子どもは、学校に慣れるまでの時間がかかる場合が多くあります。時間がかかるのは、当たり前。親としてはあせらないようにすることが大切です。うまくいかないからとあせり、 怒っても良い結果は生まれません。どっしりと落ち着いて、子どもの様子を観察してください。 子どもがうれしいと思っていることをともに喜び、 困っている時にはさりげなく支えてあげられるような、子どもが安心して戻ってくることができる場をつくりましょう。 心の基地があれば、子どもは外で思う存分活動できるのです。

一年生は、新しい環境の中で心身ともに疲れています。休養をとらせ、また、次の日、元気に家を飛び出していくことができるよう、家庭では気を配りたいものです。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
外で経験したことを何でも話したいのが、この頃の子ども。面倒くさがらずに、 しっかりと受け止めてあげましょう。親子関係づくりの第一歩です。

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(4)からだの発達1

4月になったら、いよいよ一年生。しかし、体の発達には個人差があります。

背が高い子、低い子、やせている子、太目の子と発育状態をとってもかなりの違いがあります。また、ちょっと見では男の子か女の子か見分けがつかないこともあります。

体だけでなく、考え方や生活力、運動能力、社会性の発達だって一人ひとり違います。 個人差があるのは当たり前。子どもたちは、確実に自分のペースで成長しているのです。 他の子どもと比較してあれやこれやと悩むより、自分の子どもをしっかり見つめて、 子育てをすることが大事です。

この頃は、思い切り体を動かし遊ぶことが楽しい時期でもあります。どんどん体を動かし、しっかり栄養をとって、十分休み、健康で丈夫な体をつくること。 体の発達に個人差はあっても、まずは、何があってもへばらない体力をつけたいものです。

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(5)ギャングエイジの頃 ~こころの発達~

小学校も3・4年生になると友だちとのつきあいが活発になってきます。 集団に属して行動することも多くなるので、ギャングエイジと呼ばれたりもします。 仲間意識が生まれてくる時期です。

友だちづきあいは、単に数が増えるというだけではなく、年上の子や年下の子、 同性と異性など、その対象も広がります。子どもによっては、 さまざまな集団に属する場合もあります。これは、自分の興味や自分の性格、 相手の好き嫌いなどが自分自身にもわかってくるということの現れです。 「自我」が芽生えてくる時期なのです。

相手や自分を評価できるようになると、それに従って集団を作っていこうとします。 ここで気をつけたいのが、その評価の基準です。この年頃になれば 「勉強ができる、できない」ということが子どもにもわかってきます。 友だちを、ましてや自分を「勉強ができる、できない」 というものさしだけで測ったらたいへんです。 いろいろなものさしがあるということも教えたいことの一つです。

また、この時期は、それまでの仲間とは違う集団にはいる場合も多くあります。 うまく仲間にとけ込めない場合もあるかもしれません。 集団に属することを子どもに強制する必要はありませんが、 どのようなまとまりをつくっているのか、そして、子どもがどのようにかかわっているのか、 アンテナを高くして知っておくことが大事です。

◆◇ワンポイントアドバイス◇◆
親の尺度で子どもの友だちをあれやこれやと言うのはやめましょう。 どの子にもよいところがあります。いろいろな友だちがいた方が子どもの世界が広がります。

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