4.小学校期編①

~子育てワンポイントアドバイス~

(1)集団活動の活発化

子どもたちは3、4年生にもなりますと、戸外での遊びが増えて、 「親と子」や「先生と生徒」の関係などいわゆる縦の関係から「仲間同士」という 横の関係を重視するようになってきます。

いくつかのグループを作って遊びに熱中したり、共通の目標を作ったり、 自分たちで作った遊びのルールを大切にしたり、同一の行動を重視したりします。

子どもたちは遊びを通して様々なルールを知り、人間関係の在り方を身に付け、それが社会性の基礎ともなるわけですから、親の役割、地域の役割も大事になってきます。では、どんな場面で親の役割が重要になるのでしょうか。地域が担う役割は何なのでしょうか。

様々な観点から見ていきましょう。

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(2)自発的に活動する意欲

小さい頃は何でも親に頼っていたのに、3・4年生になると急に自分でやろうとすることが多くなってきます。

この時期は、他の人を認めて、自分を振り返ったり、見つめたりする能力が発達するので、家庭や学校における人間関係を理解し、自分の行動を反省できるようになり始めます。また、同時に、他から強制されることに対して、 反発を感じ始めることも多く見られます。

「自分から進んでやってくれるといいんだけど・・・」と言う言葉をよく耳にしますが、自発的に活動しようとする気持ちを大切にする親の関わり方、家庭の在り方はどうあればよいのでしょうか。また、どのような体験をさせることがこの自発性を伸ばしていくことにつながっていくのでしょうか。

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(3)旺盛な知的好奇心

この時期は知的好奇心も旺盛になってきます。子どもはほめられ、認められることによって「やる気」や「意欲」を増していきます。

学習、読書、運動、自然などその子なりの知的好奇心の向く方向は違っているのですが、その子どもが持っている好奇心を大事にしていきたいものです。そのためには子どもがどんなことに興味や関心を持っているかを知ること、そして、それを共感してとらえることが大切になります。

そのための親子のふれあいをどう考えていけばよいのでしょうか。

また、知的好奇心を満たす体験をどのように考えていけばよいでしょうか。

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(4)親の役割

子どもが小学校3・4年生になり、学校にも慣れ親しんでくると、親の役割も薄らいできたような気持ちになり安心しがちです。しかし、心身ともに発達の著しい少年期のこの時期、親の役割はますます重要になってきます。

親の基本的役割は、子どもの生活における身体的、精神的、物質的、社会的安全を保障することですが、そのためにも、よりよい家庭づくりを心がけ、基本的生活習慣をしっかり確立していくことが大切です。

朝食をとらずに学校に行ったり、親とともに何時までも 起きている子どもが増えてきていると言われます。これでは、子どもの心身の健全な成長を期待することはできません。

よい生活習慣は「一生の宝」とさえ言われますが、これを身に付けさせるためには、子どもへの適切なお手本を示すことのできる指導者としての親の役割を十分に発揮していく必要があります。

起床、就寝の時刻、身の回りの始末、あいさつ、行儀や礼儀、手伝い、学習、物や金銭の取り扱い等々、それぞれの家庭の約束事、きまりなどが自然にできあがり、それに基づいた規律ある生活が送られていくことが大切です。このような生活の中で、子どもの自立が促され、はつらつとした心身の成長が約束されていくのです。

~決まった役割を日課にしよう~
S君は6年生ですが、4年生の時から毎朝、家のトイレ掃除をしてから登校しています。3年生までは玄関掃除をしてきました。S君の家庭は学区の外れにありますが、たいていの子どもが親の出勤途上の車に乗せてもらって登校する中、小1時間もかけて、雨の日も雪の日も歩いて通っています。

しかし、リトルリーグの試合があると、S君の両親は、チームメイトの分まで、おにぎりや 巻き寿司をどっさり持って応援に駆けつけ、大声援を送るのです。

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(5)父母の役割

家庭教育は、父親と母親がそれぞれの特性を生かしながら、互いに協力して親の役割を果たすことによって行われます。 乳幼児期はどうしても母親の役割が大きかったのですが、子どもの成長に伴い父親の役割が大きな意味を持ってきます。

父親は、子どもにとってもっとも身近な男性のモデルです。たくましさや強さの典型として子どもとふれあいながら、物事にチャレンジしていく勇気、 成し遂げるためのがまんなどを体験させるとともに、人間として、してはならないこと、しなければならないことなど善悪の区別をしっかりと教えたいものです。特に、弱い者いじめ、度を過ぎた乱暴、友だちをばかにしたりする言動など様々な機会をとらえ、いましめていきたいものです。

こうした役割を果たすためには、父親も、常日頃から子どもの教育に参画していなければなりません。子育ては父親母親の協同の責任であることを認識していく必要があります。一方、母親の役割としては、人間としての優しさや思いやりの心を育んでいくことが 大切なことと言えます。目にふれる自然や動物を愛でたり、弱い立場にあったり困っていたりする人々に対する共感や思いやりの言葉など日常生活の中で母親が見せるさりげない言動が、子どもに影響をおよぼしていることを心にとめていきたいものです。

~父親も子育てに参画を~
A子さんは、母親が働いているので、学校が終わると妹と一緒に学童保育所で過ごします。夕方になると、父親が迎えに来ます。A子さんと妹は、この父親のお迎えが大好きです。本当はもう4年生になったので、妹と一緒に家に帰るのは簡単なのですが、父親を待っています。

父親は、必ず、家に車を置いて歩いて迎えにきます。3人でおしゃべりしながら、 並んで歩くのがとても楽しいのです。父親は、A子さんと妹の話をいくらでも聞いてくれます。父親の小さい頃の話をしてくれることもあります。たまに寄り道をしてかき氷を食べて帰り、 母親に叱られることもあります。

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