4.小学校期編③

~子育てワンポイントアドバイス~

(11)生涯学ぶための基礎づくり

「手足をふりまわす時期」と言われている3・4年の成長期は、 そろそろというような準備教育的感覚では、子どもの成長に効果的に対応していく ことができないと思います。そろそろではなく突然に変容するのが子どもたちです。

その発達のバイオリズムに対する親の心の準備に弾力性が必要です。

~共働きの親の子育て座談会より~
「私は、仕事から帰ってくると、台所へ飛び込みたくなる心を押さえて、子どもが寄ってくるままに、膝の上や背中や脇に取り囲まれて、その日の話を聞くことにしています。どんな話でも子どもらの独立への体験なので、 よく聞きました。木から落ちそうだったけれど、大丈夫だったよというような話の時は、 『よかった、よかった、あなたの頑張りが強くなったのよ』と言って心から膝にキスをしてやります。 失敗した話の時は、怒りたくなるのを必死になって我慢して『それでどうしたの』と言って、 失敗の段取りを聞きます・・・」

子どもにとっては、失敗は独立への冒険のやりそこねですから、実にありありと覚えているものです。 だからこそ話をよく聞き、そして最後には握手して「それだけ覚えていれば二度と失敗はしないでしょう」 と言って念を押し勇気を与えるようにすることです。

~許される失敗・許されない失敗~
失敗には二種類あると思います。油断や天狗になったり、気のゆるみから失敗した場合は、 苦しい思いや口惜しさをとことん味わわせ、好きで努力して、一生懸命情熱を燃やしてやっての失敗や、 みんなのために頑張ってしてやったのに失敗した場合は、その失敗の原因や段取りをよく話し合って、 反省させます。そして「失敗したにもかかわらず逆に褒めること」が生涯学ぶための基礎つくりになるのです。「許される失敗か、許されない失敗か」よく見極められる心のゆとりを持ちましょう。

成功は99%の失敗に支えられた1%です。子どもの良い変容は数多くの体験学習の成果の表れです。

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(12)のびのびと家庭で自己実現

子どもに親が直接説教するよりは、本から子ども自身が学んで、 感動する方がはるかにききめがあるものです。衣食住や健康や親子関係や兄弟関係と 複雑な家庭生活の中で、一人一人が自由と独立とをもち、年齢や性質の違いなどに対する親密ないたわりをもって、家庭生活を送るために必要なことは、考えるための多くの参考材料です。最も身近なものとして、子どもたちの書いた作文集には、 子どもも親も大人も考え直さなければならない様々な材料がたくさんあります。

夕食の後など、家族全員が当番で本を読む習慣などはいかがでしょうか。3・4年生の子どもには本の提供係を頼むと、わが子のことも分かり楽しいものです。 また、子どもの書いた詩の本や動物や虫や魚などを飼育した話の本や図鑑なども楽しい話題と反省とを与えてくれます。文学を読むことも、生活に夢を持つために大切なことです。 夢があるということは、心の優しさがふくらんでいくものです。

本を読むだけでなく、絵(含・マンガやイラスト等のペン画)を画く楽しみなども味わわせたいものです。また、作品には、発達段階に応じて心の変容が表れているものです。その絵の発表の場として居間をギャラリーにすると、子どもは意欲的になりますし、 家族は共通の話題が多くなります。自由に批評し合える楽しい団らんの場となり、 素晴らしい家風が築かれるでしょう。

~居間のギャラリーは心のギャラリー~
子ども部屋を美しい色のカーテンにしたり、机の上を奇麗にしたり、親の好みの部屋にしている家庭もあるかと思います。

本来子ども部屋は、本を読んだり、粘土をいじったり、絵を描いたり、虫を飼ったり、 標本づくりをしたり等々、想像力と何かを創り出す喜びが自由に満喫できるような、子どもの唯一の仕事場だと思います。そこで作る面白さや楽しさを体得し、その作品の発表の場を居間ギャラリーにすることにより、 家族全員が作品の心を読み取り、自由に批評し合うことが、自分の考えを発表する体験学習の場となるのです。 このようなことが「ものつくりは心つくり」と言われるゆえんなのです。

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(13)ボランティア活動への参加

幼児は、自分が言っていることと考えていることと行動が一致しなければ、 テコでも動かないものです。ところが、3・4年生頃から自分の考えなどに矛盾が生じると、 自分のアンテナで何が正しいか、何が悪いかを判断できるようなモデルを集めて、 自分なりの価値判断をします。

ですから、親が正しいと言ったことでも、必ずしも正しいと自分では思わないことがあるのです。 このようなことを体験しながら自分の考えをもつことを分かり始める時期です。 だからこの時期に親は、「人の役に立つことはこんなに素敵なことよ」とか 「不自由な方とふれあうとこんなに感動があるよ」とか「幼児と遊ぶとこんなに楽しいのよ」などと、 良い体験をさせることが奉仕活動を芽生えさせることになるのです。

~子どもは親のうしろ姿を見て育つ~母子での施設訪問体験記より」
「8歳になったAちゃんへ、おむつたたみや掃除とても上手だったよ。施設で活動したことを家でしたり、 家でしていることをボランティア活動に役立てると、楽しい奉仕活動になるよ。」

子どもは親のうしろ姿を見て育つと言われています。近所の方々とのふれあい方や、 公民館などの集会活動の後始末の様子などを楽しく話して聞かせることが、奉仕への関心が高まるものです。 家で練習してその成果を発表させてほめてあげることです。

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