4.小学校期編②

~子育てワンポイントアドバイス~

(6)祖父母のいる家庭

祖父母の同居している家庭では、家族がたくさんいるという点で、子どもにとってより好ましい条件にあるといえます。しかし、祖父母と父母とで養育や教育の方針がくい違ったり、祖父母が子どもを過保護にしてしまったり、波風の立つことも少なくなく、敬遠されがちです。

祖父母は、子育ての豊富な経験を持ち、穏やかでやさしく、細やかな思いやりを もって子どもに接してくれます。また、社会の第一線を退いた祖父母にとって、同居により他の世代と交流できることは、高齢者が陥りがちな閉鎖的な生活に活力を与えてくれます。子どもにとっても、共に生活をすることを通して、人間が年をとるということがどのようなことなのかを実感することができ、老人に対するいたわりや思いやりの心も自然に育っていきます。

祖父母と同居するにあたっては、まず、親が祖父母を尊敬し、大切に扱うことが重要です。特に子どもの前では、そのことを徹底することが大切です。そして、祖父母の経験に学び、 生かすべき点は極力生かしていくよう努めることが良いと思われます。

また、父母と祖父母との間で不一致のあるような時も、子どものいないところで良く話し合い、 調整を図っていくようにします。

相互の謙虚さとお互いを立てあう態度があれば、祖父母の同居はとても有益で、子どもにとって何にもまして良い経験や教育になるはずです。

~祖父母とのふれあいを~
B君の祖父母は遠く離れた町に住んでいます。祖父が入院した時、B君の母親は働いているのでなかなかお見舞いに行くことができず、代わりに毎日のように葉書を書いていました。B君はそれを見て自分も書くことにしました。祖父が退院した今でも、よく書き送っています。祖父母からも時々返事がきます。夏休みに遊びに行くと、アルバムのように大事に ファイルしたB君の葉書集を見せてくれます。話もどんどんはずみます。

これにヒントを得て、B君は学級で敬老の日の取組みの相談をした時、学区のお年寄りに葉書を書くことを提案しました。ただし、違うのは、学級のみんなと、その葉書を持って、 お年寄りの家に遊びに行くことです。

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(7)学校や地域社会の役割

子どもは生きていく基本となるものを、家庭の中で、父親や母親から学びます。そして、それを糧に、学校、地域社会に飛び出し、さまざまな経験を重ねていきます。 このような中で、子どもが豊かな成長をとげていくためには、家庭、学校、 地域社会がそれぞれの役割を十分に果たしていく必要があります。

家庭ではしつけを、学校では学習を、地域では社会性を教え育てていくのが基本ですが、何もかも学校に任せ、依存してしまう傾向があります。本来家庭でやるべき 基本的生活習慣のしつけを学校で指導を頼みますとする親の姿勢があるとすれば、それは改めていかなければなりません。

また、親自身が隣近所との挨拶をおろそかにしたり、地域の行事や奉仕作業などへの参加に消極的であったりするならば、子どもが地域で育つ可能性をはばんでしまうことになってしまいます。

教育は家庭、学校、地域社会相互の信頼がなくては成り立ちません。それぞれの役割をどのようにして果たしていけばいいのか、緊密な連携を図っていくことがこれからの課題と言えましょう。

~忘れ物は、しつけの忘れから~
H君が1年生になった時、母親に、毎日約束したことがあります。それは、夜寝る前に必ず母親の目の前で明日の勉強の道具をそろえることです。

時間割を見ながら、国語、算数と順にカバンに入れ、鉛筆を鉛筆削りで研いでそろえます。H君が、それをすませるのを見ると、母親はにっこり笑って、毎日、 洗濯したてのハンカチと給食のナプキンを手渡してくれるのです。

3年生になったH君は、すっかりそれが習慣になり、めったに忘れ物をしたことがありません。もちろん、今では、母親は、H君が道具をそろえるのを見ていませんし、 ハンカチとナプキンも引き出しから自分で取って持っていくのです。

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(8)地域で育てる

学校から帰った子どもたちは、一体どんな過ごし方をしているのでしょうか。4年生を対象に行った「遊びについての調査」によると放課後を家の中で過ごしている 子どもたちが半数近くもあります。友だちと外で元気に遊ばない子が増えていることは、行動が活発になり、その範囲も広がってくる3・4年生のこの時期の子どもたちにとって大変不幸なことです。子どもは遊びを通して社会の一員として必要なことを学びます。 特に年齢の異なる子どもの集まりでは、子どもの間に自然な役割分担が生まれ、責任感や信頼感、 他を思いやる心やゆずり合いの心が養われます。地域の子ども会はこうした働きをしてくれる 貴重な集まりです。特に最近のように兄弟の少ない家庭が多くなっている状況の中では、 子どもの成長にとって地域での生活が大きな意味を持ってきます。

地域の子ども会や地域行事に進んで参加させ、遊びや活動を通してたくましい子どもに育てましょう。 パパやママも家庭から地域へ一歩踏み出して、近隣の人たちと手をつなぎ、 地域の中で子どもたちが豊かな体験ができるように援助し、地域社会での子育てを進めましょう。

~子ども会をきっかけに~
「ある母親の体験から」
息子は小さい時から家の中で静かに過ごし、手のかからない良い子でした。ところが成長するにつれ外での新しい経験を恐れたり、失敗を気にするようになりました。 そんな時、子ども会のドッジボール練習に行った息子がいつになく目を輝かせて帰ってきました。 失敗しがちな息子を「どんまい、どんまい、がんばって!!」と上級生が励ましてくれ、 それが余程うれしかったようです。それをきっかけに息子は外に出るようになり、 近所に友だちもできました。それまで家の中に閉じこもりがちだった私も地域の行事に参加するようになり、今では子育てについて話せる仲間も増え、心強くなりました。

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(9)社会参加の一歩

親離れの始まる3・4年生のこの時期は、積極的に外に向かってエネルギーを 発散させたい年頃です。子どもの目は外に向けられるようになり、社会性も芽生えてきます。 こうした時期から「社会参加」への意識や行動を育てておくことはとても大切なことです。

3・4年生の子どもたちの社会参加という難しく聞こえますが、社会参加の基礎づくりは 家庭生活にあります。家庭の中で子どもにできる仕事を分担させ、 自分の小さな仕事も家族みんなの役に立っていること、家庭生活は家族がそれぞれ役割を持って協力し合っていることを、体験を通して理解させることが社会参加への一歩です。 その上に立って地域の清掃活動に親子で参加したり、子どもと一緒に一人暮らしの 老人を訪問するなど身近なところから始めてみましょう。子どもの頃から社会参加の体験を持っていれば成長するにつれてその場を広げていけるようになるでしょう。 大切なのは親自身が社会参加する姿を子どもに見せることです。

~ふれあいマラソンで車いすのおじさんと出会って~
5年生のk君は、村が主催する「ふれあいマラソン」に3年生の時から家族と一緒に 参加しています。k君はこのふれあいマラソンで「車いすのおじさん」に出会いました。 その時のことを次のように書いています。

「ぼくは、9月4日のふれあいマラソンで車いすのおじさんに初めて会いました。 会ったといっても話したわけではなくちょっと離れた所からおじさんを見ていました。でもおじさんの姿を見ているだけでとても大事なことを教えてもらったような気がします。 おじさんは車いすで10キロマラソンに参加していました。おじさんの足は細くて短かく、そのかわり腕は太くて、良く日に焼けたたくましい腕でした。このマラソン大会に出ている誰よりも練習したとわかる腕でした。おじさんがグラウンドに車いすで走って入って来たときは、 ぼくはなぜか目いっぱい応援していました。知らないうちにとても大きな声が出ていました。 『おじさん、がんばれ』何度も何度も叫びました。」・・以下略

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(10)社会教育施設の利用

子どもの心を広く豊かに育てるためには、様々な体験をさせることが必要です。 子どもは学校でふれあうことのない多くの人たちと接し、より広い社会生活を体験します。また、自然や文化とのふれあいを通して感動したり、新しい出会いや発見に喜びを感じ、 人間として成長していきます。

この時期の子どもたちは、物事に対して興味、関心を持ち、「やってみたい」という 意欲旺盛な年頃です。こうした子どもたちに開かれている社会教育施設が身近なところにあります。 公民館や図書館、博物館や野外活動センター等です。これらの施設では、子どもの成長に役立つ様々な 行事や体験学習等が計画されています。休日や長期の休業に、親子で利用し、体験を共にすることで 親子のふれあいを深め、共に成長する機会にしたいものです。

~自主的に活用できる力を育てるために~
これからの子どもたちは、生涯学び続けるための「学び方」を身に付ける必要があります。 社会教育施設等の利用についても子ども自身が自主的に活用できる力を付けることが大切です。 そのためには、今の段階で「利用して役立ってよかった」「楽しかったので次も利用したい」 という経験を積ませることです。公民館便りや市町村の広報、青少年の家等から出される所報には、 豊かな体験やふれあいができる様々な行事や活動が紹介されています。工作教室やスポーツ教室、 自然とのふれあい活動など子どもが生き生きと喜んで参加できるものを子どもと相談して選び、 進んで利用するようにしましょう。

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