すこやかマガジン第904号
共同体感覚
みなさん、こんにちは。今年も残り10日あまりとなりました。
11月21日のすこやかメールマガジンでは、オーストリアの心理学者アルフレッド・アドラーの言葉を話題にしました。私は最近、息子ができている95%の部分をよく見るようになりました。よくよく観察すると、息子は息子なりに反省したり、努力したりしているということに気が付くようになりました。息子の良いところに気が付いた時には、できるだけ言葉で伝えるようにしています。しかし、どんな言葉がけをすればよいか考えるときがあります。そんな時に参考になるのが、アドラーの次のような言葉です。
『「よくできたね」と褒めるのではない。「ありがとう。助かったよ」と感謝を伝えるのだ。感謝される喜びを体験すれば、自ら進んで貢献を繰り返すだろう』
私たちは「偉いね。よくできたね」と子どもを褒めることを考えます。しかし、アドラー心理学では、「褒めること」よりも「感謝すること」の方が大切だそうです。「褒めること」は上から目線。それに対し「感謝すること」は横から目線です。褒められれば確かに誰でも嬉しい。やる気が出ます。でも、打算的な部分を育ててしまう危険性もはらんでいます。「褒められたり、叱られたりすることで相手からコントロールされることに慣れてしまった子どもは、評価してくれない相手を敵だと思うようになる」とアドラーは言っています。
「ありがとう、助かったよ」と言われたらどんな気持ちになるでしょう。どこか自分の居場所が見つかったような、自分は自分でいいのだという安心感やその集団にいていいのだという信頼感のようなあたたかい気持ちが生まれてきます。自己信頼、他者信頼、所属感、自分は他者の役に立っているという感覚。これをアドラー心理学では、「共同体感覚」というそうです。この共同体感覚を獲得することこそが、対人関係のゴールです。
私は、意識して週に3回は息子にちょっとした頼みごとをし、「ありがとう、助かったよ」と伝えるようにしています。はじめはなかなか言えませんでした。手伝いをするのは当たり前だと思っていたからかもしれません。照れ臭いながらも、言ってみると次第に慣れてきます。
息子が生まれたときは、「生まれてきてくれただけでありがとう」という気持ちだったのに、日常に押し流され、上から目線の子育てをしてしまい「私を父親にしてくれたのは、この子なのだ」という気持ちを忘れそうになりそうなこともあります。今年ももうすぐ終わりです。来年も、私も父親として、息子と一緒に成長していけたらいいと思います。
「共同体感覚について」はこちら
https://www.idear.co.jp/mental-column/psychology/community
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