すこやかマガジン第893号
2024年10月3日
一人ひとり違う
この人数は何か、皆さんは分かりますか?
●299,048人(前年度244,940人)、1,000人当たり31.7人(前年度25.7人)
これは、文部科学省が毎年行っている「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」の最新版(令和4年度)の不登校の児童生徒数です。詳しくご覧になりたい方はこちらから見ることができます。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm
不登校の児童生徒数は10年連続で増加し、過去最多となっています。
岩手県も全国と同じ傾向にあり、R1:1,277人→ R2:1,372人→ R3:1,679人→ R4:2,005人 と増え続けています。
この調査は要因を学校側だけに尋ねており、「無気力・不安」が51.8%と半数を占めました。「いじめ」は0.2%、「教職員との関係を巡る問題」は1.2%にとどまりました。
3月26日の岩手日報に、「不登校の要因 子と学校 認識に大差」という見出しの記事がありました。どういうこと?と思い、記事を読みました。それは、文部科学省の委託調査(調査:子どもの発達科学研究所・本部は大阪市)で、不登校の要因を巡り、子どもと学校側の受け止めに大きな隔たりがある現状が明らかになったという内容でした。
【不登校要因調査の主な回答】
・いじめ被害(学校側:4.2% 子ども側:26.2%)
・教職員への反抗・反発(学校側:3.5% 子ども側:35.9%)
・教職員とのトラブル、叱責(学校側:2.0% 子ども側:16.7%)
・学業の不振(学校側:41.2% 子ども側:47.0%)
・宿題ができていない(学校側:40.5% 子ども側:50.0%)
・体調不良(学校側:18.5% 子ども側:68.9%)
・不安、抑うつ(学校側:19.0% 子ども側:76.5%)
9月6日に当センターで実施した「子育て・家庭教育相談セミナー」で、講師の秋山邦久先生(常磐大学人間科学部 教授)が、「不登校を十把一絡げに捉え、『見守りましょう』という対応が長期化を招く。『生物・心理・社会モデル』で適切に見立て、それに基づいた支援をしなければ問題は解決しない」と何度も話されていました。
※秋山先生の資料より「不登校児童生徒の背景等」
◆生物的背景:身体・器質・精神神経学的な課題
(身体的ハンディ、知的レベル、認知の偏り、精神疾患など)
◆社会的背景:生育・学習環境や時代背景などによる課題
(虐待、ヤングケアラー、貧困、宗教、友人、親戚、体罰・いじめ、サポートなど)
◆心理的背景:性格、気質、不安、対処行動などによる課題
(几帳面、神経質、こだわり、頑固、不安、行動レパートリー不足など)
不登校の要因は一人ひとり違うのに、多くが「無気力・不安」とされて実態が見えていなかったことが、増え続ける人数に表れているのかもしれません。一人ひとり違う要因を適切に見立て、個別具体的な支援計画を作成し支援にあたることが、今、正に求められているのではないかと思いました。
文部科学省は今回の委託調査の結果を受け、「問題行動・不登校調査」の手法(調査項目の見直し、教員による認識ベースから、事実に即して選択するよう設問へ)を変更する方針であるとのことです。
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