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すこやかマガジン第887号

2024年8月22日

工作は自分の分身

 つい先日、通勤の途中で、二学期が始まった小学生が登校する姿を見かけました。その中に、とても大切そうに箱を抱えて歩いている子がいました。おそらく夏休みの工作が入っているのでしょう。一生懸命作る姿が浮かんできて、微笑んでしまいました。

 夏休みの工作といえば、子どもの頃、某テレビ局の「できるかな」という番組でノッポさんが色画用紙で鳥かごを作っているのを見て、「これだ!」と思い、一生懸命見て覚えた記憶があります。その後早速おこづかいを握りしめて近くの商店に出かけ、買ってきた色画用紙で試行錯誤しながら作ったものです(結局うまくできませんでしたが…)。そもそも夏休みの宿題に、工作があるのは何のためでしょう?

 東京藝術大学の長濱雅彦教授は夏休みの工作について、こう言っています。「自分の分身とも言うべき作品を作り出す経験が重要。材料というのは、自分と違う他者。他者という自分でどうにもならないものに対峙することで、初めて自分に気付くことができる。そうすると人も物もそれぞれ違うのだということが五感でわかる。思いどおりにはならない経験を経て大人になっていくことがすごく大事。家庭において行う教育として夏休みの工作の課題は最高だと思う。子どもの生活は遊びの延長。遊びを通じて人間力を養っていく。だから笑うとか喜ぶ体験を、子どもの頃からたくさんしてほしい。経験や体験がないと観察力は身に付かない。そうすると作品のアイデアも出てこない。良い作品のためには、豊かな体験が必要なのだ」と。そして、こう続けています。「親が準備をしすぎて道を作ってはダメ。とはいえ、生活の中から得られる実体験の乏しい世の中で、特に経験の少ない小学校1、2年生のころはある程度手助けをし、話し合いの中から作り出すという経験は必要かもしれない。けれど、経験を積み、技術も向上し始めた3年生くらいからは放っておくのが一番。自由に自分の中から湧き出るものを形にするので、小学校3、4年生は面白いものを作る。そして5、6年にもなると技術的にも素晴らしいものが増える。あくまで”子どもの作品、子どもの分身”である、と見守るのが大事だと思う。小学校の6年間の中で工作を続け、自分の分身を世に出し続けたら素晴らしい経験になる。素晴らしいカリキュラムだ」と。

 つい、子どもの工作に手や口を出してしまいたくなるかもしれませんが、工作を「やっつける」ものより「自分の分身を作る」ものとして、とらえてみてはいかがでしょうか。

参考 https://resemom.jp/article/2019/07/19/51566.html 

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