事業プログラム企画運営研修講座
実施日:令和6年9月27日(金)
事 業 報 告
幅広い年代の住民を地域の担い手に
~いつの間にかいろんな人たちを巻き込む事業づくり~
【講師】 山形大学 地域教育文化学部教 授 安藤 耕己 氏

【講義】「幅広い年代の住民を地域の担い手に」
事業プログラムを企画、構成するための基本的な考えを学び、若者を軸にした幅広い年代の地域参画につながる事業づくりについて理解を深めることを目的として実施しました。
講義の最初から、「今日の講座の結論からお話しますが、キーポイントは、『伴走性』です!!ただ、これが今は、構造的に難しくなってきています」と、安藤節(本人談)での講義が始まりました。
<講義要旨>※安藤先生は、実際に御自分が足を運んで対面で調査されています。
◆継続している教室・講座・イベントには、法則性がある。10年位前の月刊社会教育(雑誌)に掲載されている実践例が今も続い ているか調べてみると、
続いていない所➡「人」だけに付いている
続いている所 ➡「人」だけに付いていない
「人に付く」とは、その人がいたからできた、その人がいなければできない状態のこと。「人だけに付いていない」講座、運営の方法や仕組み、伴走性による自立への導きが大切。
◆参加者が減少しているのは、昼働いている人が増えている等、社会の変化が大きく関係している。
◆ニーズ(要求課題)に応えることが第1ではなく、住民のやりたいこと(要求課題)と主催者側が学んでほしい・取り組んでほしいと思っていること(必要課題)のバランスが大事。

◆来ない人の隠れたニーズをとらえるには、アンケートではなく対話が必要。課題解決ワークショップ。困りごとを共有し、必要とすることの事業化に際してみんなの意見が反映される仕組みがあり、いつまでにこれをするかという行程表に基づき活動することで参加する人が増えていく。山形県川西町のNPO法人きらりよしじまネットワーク(町民全員がNPOに加入)の実践例より。
・若い世代がコーディネーターに入ることも。
・ニーズをくみ取るため、ひたすらワークショップ。自分の意見が活かされるので住民も楽しみにしている。
・農家の女性の企業の支援として、葬祭グループと提携。
・タブレットで商品を選んで配達してもらっていた「移動スーパー」について、実際に商品を見て選びたいというニーズを実現。
◆私事性から公共性へ
・「世のため人のため」からではなく、自分のやりたいことが、いつの間にかみんなのためになっている方が続く。大事なのは、やってて楽しいかどうか。
・「教室・講座」からきっかけを作り、次第に自立(サークル化)させていくためには、伴走的な支援(最初は強く介入、活動が停滞してきたらまた介入、自主企画講座に補助や支援)が必要。
◆伴走を継続的に可能にするための構造
山形県南陽市の例(行政が社会教育に価値をもって動いている市)
・同じ社会教育主事が6~8年継続勤務。次の社会教育主事との勤務期間の重なり期間を3~4年設け、引継ぎをしっかり行う。
【演習】 「いつの間にか いろんな人たちを巻き込む事業づくり」

グループのメンバーを入れ替えながら「悩み、自慢、チャレンジしたいこと」を出し合い、模造紙に書き込み、共有、意見交流をしました。5グループの話し合いで出されたことを整理してみると、下記のようになりました。
①社会の変化への対応
核家族化、非婚化、少子化、高齢化、孤立化… 等問題が複雑化
➡地域を活かした体験やイベントを通して、人が集まり、住民が楽しみながらつながることができる。コロナ禍を経た今こそ、人のつながりが求められている。
<幅広い年代が参画できる活動>
・eスポーツで麻雀、スイッチを大画面で楽しむ
子ども、親世代、高齢者がお互いに楽しみながら教え合うことができる。(eスポーツ=世代をつなぐ共通言語)
・学校の総合的な学習と関連させる、PTAに出向く
・学童を巻き込む(土日の活動に困っている)
・合同防災訓練(普段は交流のない人たちに交流が生まれる)
・体験を通してつながる(祭り、スポーツ、音楽、調理、川下り、魚つかみ等々)
・父と子が参加できるイベント(「親子プラモデル教室」父も堂々と楽しめ、母も休める)
②職員体制
・正職員と会計年度職員の待遇の違いや人間関係に難しい面があるので、会計年度職員が思ったように業務を進められないジレンマがある。(全国的にも問題になっているそう/安藤先生談)
・社会教育の専門職員がいない
③事業や講座について
住民の主体的な学び・自立した活動にならない
➡現在の事業や講座の企画・運営の方法を変えることで、住民が主体的に学び、自立して活動するサークルや役割のある居場所になるのではないか。
・年間でテーマを決めて、最後発表の場を設けるなど、主体的に参加できる仕組み
・学びを地域PRに活かす工夫、AR化、地元メディアの活用
・講師=住民 地域の人の得意をみんなで楽しむ
・やってちょうだいではなく、あなたが必要 若者世代も運営委員に取り込む

【参加者の感想】
・実践に基づいた先生のお話、グループの方々のアドバイスなど、とても有意義だった。
・事業を運営・継続するために必要なことや、皆さんの悩みはどこでも共通していることが分かった。また、意外な事が人とのつながりをつくること、そこから様々な可能性が見えてきたことが今回の収穫だった。
・講義、そして参加者と話し合うことで、今後の業務に役立てることが出来そうな情報を得ることができた。
【受講者の評価】
A (有意義) 89%
B (どちらかといえば有意義) 5.5%
C (どちらかといえば有意義でない) 5.5%
D (有意義でない) 0%
【担当者から】
幅広い年代の参加者と対話をすることで、考えたこともなかった視点を得ました。情報交換の時間が足りないほど盛り上がりました。
申し込みフォームはこのページの下側にあります。
実施担当:[生涯学習推進センター]

- 1 目 的
- (1)事業プログラムを企画、構成するための基本的な考えを学ぶ。
(2)若者を軸にした幅広い年代の地域参画につながる事業づくりについて理解を深める。
- 2 主 催
- 岩手県教育委員会
- 3 主 管
- 岩手県立生涯学習推進センター
- 4 対 象
- (1) 市町村の公民館 地区センター等の職員
(2) 県・市町村の生涯学習・社会教育関係職員(図書館、博物館等職員を含む)
(3) 市町村一般行政の事業担当者(地域おこし協力隊含む)
(4) 地域づくり団体 NPO法人等関係職員 地域に携わる方
(5) 学校関係者 社会福祉協議会職員 子どもの居場所・子ども食堂関係者
- 5 定 員
- 40名
- 6 期 日
- 令和6年9月27日(金)
- 7 会 場
- 岩手県立生涯学習推進センター
〒025-0301 花巻市北湯口2-82-13 TEL 0198-27-4555
- 8 受講申込み
- 「まなびネットいわて」から申し込んでください。
【申し込み締め切り 9月20日(金)】
- 9 日程及び内容
- 【受 付】 9:30~
【開会行事】10:00~10:10
講師:山形大学地域教育文化学部 教授 安藤 耕己 氏
【講 義】10:10~12:00
「幅広い年代の住民を地域の担い手に」
若者や子育て世代を対象とした公民館・地区センターの事業、地域づくりに関わる事業等を企画しても人が集まらない、あるいは来るのはいつも同じ人ばかり。そして、せっかく軌道に乗った事業が続かない…。それは実は必然。「世のため/地域のため/みんなのため」を謳った取り組みに賛同して関わってくれる人たちは、かなり自覚された方々です。別に「自分のため」から始めていいのではないでしょうか。そして、それをずっと続けなくてもよいのではないでしょうか。等々、いつの間にかいろんな人たちが「巻き込まれていく」そんな取り組みのきっかけづくりを一緒に考えましょう。
【昼食休憩】12:00~13:00
【演 習】13:00~15:00
「いつの間にか いろんな人たちを巻き込む事業づくり」
みなさんが悩んでいること、自慢できること、新しくチャレンジしてみようと考えていることを伝え合い、午前中の講義内容をもとにお互いにアドバイスをし合います。そして複数のグループを渡り歩いて、ヒントと新しい情報と安心感、相談できる新たな仲間の名刺を持ち帰りましょう。
【閉 会】15:00
- 10 携行品
- 名刺、筆記用具、所属で使用している名札
研修会資料は、Webサイト「まなびネットいわて」の特設ページに掲載します。受講者自身で資料を印刷、または、タブレット等にダウンロードの上、ご準備くださるようお願いします。
- 11 受講者旅費
- 派遣者において負担願います。
- 12 その他
- (1) 昼食は、各自ご用意ください。
(2) 県立生涯学習推進センターまでの交通案内及び駐車場下記よりご確認ください。
「まなびネットいわて」>[生涯学習推進センター]>[アクセス]
(3) 欠席の際は、岩手県立生涯学習推進センターまでご連絡をお願いします。
- 13 受講申し込み
-
下記フォームに必要事項を入力し、[送信]をクリックしてください。後日担当者から確認のメールを差し上げます。(2~3勤務日以内)(入力いただいた情報は関係機関で受講に関係した処理のみに使用いたします)
※公立学校の教員の方は下記フォームでの申し込みと併せて「Plant」上での申し込み手続きを行ってください。> Plantリンク
***申込フォーム***
※上の[送信]ボタンをクリックして、送信が完了すると、ボタンの下に「ありがとうございます。メッセージは送信されました。」と表示されます。繰り返し送信ボタンを押さないよう、ご注意ください。